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幕間:アスガルドへ続く道

 セントラリア王国とアスガルド王国。

 両国は小高い山を二つ隔てた位置に存在する。

 距離にして荷車を走らせること約14日間で到着する距離関係だ。

 私達は今、二つ目の山を登り切ろうという位置まで来ていた。


「もう少しだ。この先を超えればアスガルドが一望出来る頂に到着するだろう」

「すみません、ティア様。私の不注意のせいで」

「気にするな。アスガルドに到着すれば、しっかりとした治療も受けられる筈だ」


 私は先頭の荷車に横たわる部下を安心させるべく微笑んだ。

 彼の右足は、添え木と共に分厚い布によって固定されている。

 最初の山を下る際に、魔物に襲われたのだ。

 急な襲撃のため、慌てふためいた部下が崖から足を踏み外して転落。

 命に別状は無かったが脚を骨折する怪我を負ってしまった。

 彼が担うべき仕事を私が肩代わりしている状態だ。


「その様に沈んだ顔をするな。アスガルド王国を見れば、少しは元気にもなる」


 アスガルド王国。

 美しき水の都であり、尊大な王が支配する国という認識を持っている。

 黒い噂も絶えず、気に入らない部下が居れば容赦なく切り捨てるらしい。

 あくまで噂だが、以前見た際にあながち間違いではないという印象を持った。

 下卑た笑顔と人を小馬鹿にした態度が目についたのだ。

 私個人としては好きな部類の人間ではない。

 先行していた部下の一人が大声を上げる。

 

「ティア様! アスガルドが見えました。感動です、私初めて見ました!」


 嬉々として感想を述べる部下に苦笑しつつ、彼の位置まで歩を進める。

 そこで見た景色は、異常なモノだった。

 私がアスガルドに訪れたのは五年前。

 城を中心に十字の巨大な水路が貫く様は昔と変わっていない。

 その景色と水の楽園に心奪われるのは納得できる。

 

 かつて、アスガルド王国の隣には広大な平野が広がっていた。

 そこに今、私が見た事の無い巨大な建造物の群れがあったのだ。

 その中央には重厚で硬質的な印象を与える巨大な半球状の建物がある。

 何か先進的な技術が用いられた街であることは一目瞭然だ。

 遠目から見ても謎の物体が建造物の合間を行き来しているのが分かる。


「どういうことだ? 五年でここまでの街を築けるものなのか?」

「昔は存在していなかったのですか?」

「そうだ。巨大な水路が印象的な王国が存在するのみだったのだが……」


 アスガルド王国には先に封書を送っている。

 セントラリア王国の騎士団長が来訪する旨と王の謁見を取り付けたモノだ。

 

「アスガルド王、本人に問い質せば何か分かるか……」


 嫌な予感がする。

 私の使命はアスガルドで開かれる大会に参加し、強者を見極めること。

 魔王復活が迫る中、戦力増強は急務となる事項である。

 だが、アスガルドの現状は異様だ。

 魔王の存在以上に不穏を漂わせる何かがある。

 

「とんだ遠征になったものだな」


 気を引き締めて、挑まなければならないようだ。

 王国へ繋がる道。

 最後の山越えを果たすべく、部下達を鼓舞して歩を進めるのだった。


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