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エピローグ②:ティア

 私達が住まう世界アルファは五つの大陸によって構成されている。

 地図の中心には二つの大陸が存在し、人々の生活圏はその場所に限られていた。

 残りの三つは大陸自体が未踏領域であり、帰還したモノが居らず情報がない。

 私達の与り知らぬ存在達が闊歩する未知なる土地だ。


 セントラリア王国の大会議室では世界地図が広げられている。

 王を中心に臣下達が顔を揃える中、皆の視線は一つの大陸に向けられていた。

 私達の王国も属する大陸の一つ"アルス"。

 その大陸地図に記された四つの刻印と無数の黒点が示す意味は、


「大陸アルスに存在する四大王国が連携した結果がこれです」

「黒点は何らかの人材確保が行われた場所となります」


 会議に参加する者達に渡された資料。

 そには、これまでに集めた人材の一覧が示されていた。

 確保するための方法も様々あり、大国達の本気度が伺える。

 何故、そのようなことをするのか。


 それは、人界に危機が迫っているから。

 数百年の時を経て、新たな魔王復活のお告げがあったからだ。

 それも、各国が抱える予言者、全てが同じ時期に。

 事態は一刻を争うとして大国達は決起した。

 その目標となるのは優秀な人材の確保、そしてある人物を探すためだ。

 かつて、魔王を打ち滅ぼした者。

 勇者のスキルを持つ存在を。


 その両方を満たすため、慎重にかつ迅速に国家間で計画が進められていた。

 国民に危機を悟らせず、優秀な人材を集めるために。

 順調に経済が回る世界に混乱を与えるのは愚の骨頂だ。

 今は戦力を集め、然るべき時に問題は無いと告げられるよう邁進する他ない。

 

 資料に目を落とす。

 人材と確保した手法が分かり易く紐付けられている。 

 

 兼ねてから情報があった強者へのアプローチ。

 武術大会。

 高難易度・高報酬の魔物討伐任務。

 

 他にもあの手この手の手法で人材を集めているようだ。

 中でも皆が目を惹いたのは、


「賢者だと!?」

「まさか、かつて勇者と共に戦ったとされるあの賢者か……」

「新ダンジョン攻略班が見つけて来た人材だな」

「他にも中々に粒が揃っている、実に面白い」

「俺が推したいの賢者ではないがな」

「ほう、賢者以外に最高騎士殿が惚れ込む程の人材がいるとは」


 叔父様は嬉しそうにリルアという少女について語る。

 正直、面白くはない。

 同年代で私より実力が上の者など、この世に存在しないと思っていたからだ。

 叔父様に剣気を感じさせないなんて、私でも簡単に出来る。

 澄まし顔を装って成り行きを見守っていると、


「最高騎士殿、お話はそれまでにしては? ティア様の心情もお考え下さい」

「いえ、私は別に気にしてなどいませんよ」

「おお、すまなかったティアよ。少しはしゃぎ過ぎてしまったな」

 

 叔父様がわしゃわしゃと私の頭を撫でる。

 

「勿論、お前こそが最強だと私は思っているぞ」

「確かに、ティア様はセントリア王国随一の実力者でありますからな」


 皆が頷く中、社交辞令として笑みを返す。

 別に誰かに認められたいがために、鍛錬を積んでいるのではない。

 見たいのだ。

 更なる高みへ、何処までも。

 だから、興味があった。

 叔父様達も認める実力を持つ、辺境の村に住む三人組の存在に。


「現在、ダンジョン攻略で選ばれた者には特使を派遣しています」

「我々の仲間となってくれれば、嬉しいのだが」

「最悪、事態を伝えれば手を貸してくれるには違いない」


 特使の派遣か。

 任務が無ければ私もリムルムント方面に向かいたかったのだけど。

 叔父様に改めて任務の内容を確認する。


「では、私はアスガルド王国で開催される武術大会に出場すればいいのですね」

「そうだ。優秀な人材を発見し、レポートとしてまとめて欲しい」

「了解しました。すぐに旅立つ用意をしてきます」

「頼んだぞ、ティア。いや、セントラリア国騎士団長様と呼んだ方がいいかな」

「いつも通り名前呼びで構いません」


 私は席を立ち、大会議室を後にする。

 いつ訪れるともしれない終末の危機。

 文献によれば魔王は想像を絶する力を持っていると記載されている。


「悠長に時を過ごしてる場合ではないのかもしれないわね」


 王国のため、世界のため。

 騎士団長の呼び名を授かりし者として、皆を先導せねば。

 だから、私は征く。

 この世界を守護する者、その最前線に立つ一人の騎士として。


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