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エピローグ①:サクラ

 満天の星空に様々な映像がグルグルと描写されている。

 先日、リルア様と攻略した新ダンジョンでの出来事。

 それが、走馬燈のように星々の間を流れていく。


「彼を観測できましたか?」

『いえ、正確に補足するには至らず……』

「駄目でしたか。"HERO"が解放された時、私達を見守る存在……」

『多元の意思ですね』

「そうです。人々の意思を繋ぐ存在……、彼を早く見つけなければ」

『……』


 私とリルア様を巡り会わせ、転生させた女神。

 彼女の世界に私は足を運んでいた。

 

『そういえば、肉体を頂いたお礼をしなければなりませんね』

「いいのです。貴方には当分、監視者としての役目を全うしてもらいますから」


 かつての私は数多の異世界で英雄と呼ばれる者達に従う意志あるスキルだった。

 世界を守る為、彼等に尽くし平和へと導く存在。

 その繰り返しが永遠に続くと思っていた。

 しかし、敗北は突如として訪れる。

 シナリオ通りに組まれた筈の物語。

 しかし、悪は予想以上の進化を遂げ、各異世界の転生者達を上回るようになる。

 増加する転生者に比例して、対する悪も巨大になっていたのだ。

 その天秤が今まさに悪の側へ傾こうとしている。


「今では私達、女神や転生スキルを以てしても敵わない悪が増加しています」

『状況はどうなっているのですか?』

「力ある悪は自らの世界を牛耳り、他の異世界への侵攻を企てています」

『異世界アルファには?』

「アルファに侵攻の気配はありません。でも、いずれは……」

『やはり、異世界の事情をリルア様に知らせた方がいいのでは?』

「少しだけ待って下さい。多元の意思の正体を突き止めるまで」

『分かりました』


 異世界アルファに戻るべく、意識を断つ。

 瞬間、脳裏に浮かんだのは私と共に歩み、殺された転生者達の顔だ。

 仇を取りたい。

 反面、リルア様達を巻き込みたくないという思いもある。

 彼等が平穏に暮らせるのであれば、それでいいと。

 

『ジレンマですね』


 中途半端、という歯切れの悪さはある。

 けれど今は静観するべきなのかもしれません。

 もう暫くはリルア様の強化を計りつつ様子見をするとしましょう。


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