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幻獣憑依:アスカの視点

「セーラ、おっさん。アンタ達は逃げな」


 スキル《霊山百景》。

 霊山に住まう幻獣をランダム憑依させるスキル。

 子供の頃から山に住み、低位の幻獣達と遊んでいた私。

 もっと、沢山の幻獣達と友達になりたいと無垢なる頃に発現させたスキル。


 今回、呼び出したのは紫電の幻獣"ラオウ"。

 推定レベル120の雷光を纏いし神。

 レベル70ちょいの私には負担が重すぎる幻獣だ。

 少し動いただけで吐血とか、マジヤバな感じだけど、やるしかない。

 二人とも何か言いたげだけど、ここは私に任せてほしい。


「入り口見える? 2つあるだろ。きっと、左ルートに繋がってると思うんだよね」


 繋がってなかったら、ゲームオーバー。

 繋がってて、私が耐えきれなくてもゲームオーバー。

 

「助けを呼んで来てくれ。それまでは耐えてみせる」


 自信はない。

 でも、私には幻獣達の加護がある。

 彼等と共にここは堪え忍ぶ。

 まあ、耐えるのは私の肉体なんだけどねー。


 セーラは私の覚悟を感じたのか、おっさんの手を引いて走り出す。

 いい子だ。

 私も残るとか言い出すかと思ったけど、ちゃんとこの場を分かっている。

 敵が共食いしているうちに、少しでも早く仲間を連れてきて欲しい。


「仲間か……。宝を争うライバルだってーのに」


 スキルを使えるのは後一回。

 私の能力は日に二回が限度。


「滑稽だな。自らを犠牲にして、ゴミを呼ぶのか?」

「ゴミはアンタだよ。私達には大賢者様がいる。そして、リルアもね」


 何となく感じてはいた。

 リルアには不気味な何かを感じる。

 それを察して、バカ眼鏡は倒すのではなく、飛ばすを選んだ。

 心の何処かで恐れたんだ。


「アンタ、リルアが怖かったんでしょ」

「怖い? 愚問だな。奴には実験台になってもらいたかっだけさ、コイツのね」


 仲間を全て平らげたバカ野郎を見る。

 ひどい臭いだな。

 魔物を喰らうと強くなる能力なんだろうけど、身体が溶けかけてるじゃねぇか。


「実は失敗してるんじゃね、共食い野郎が」

「心配ご無用。もうすぐ、生まれるから」


 悪寒。

 こんなのは、初めてだ。

 溶けていた身体が急速に形を変え、人型の異形が佇んでいた。

 茶色の筋肉質な身体、でも頭部はほぼ髑髏で脳だけが不気味に飛び出ている。

 先に仕掛けるか。

 "ラオウ"は最速の幻獣だ。

 だから、行った。

 敵に防御されるか、回避されるか、下手すりゃカウンターだけどそれはない。

 この速さは見切れないだろ。

 雷光を束ねた手刀が突き刺さる。


「嘘だろ……。傷一つ無しかよ」 

 

 120レベルの幻獣。

 その攻撃を受けても、傷一つ付かない身体。


――逃げて。


 また、この声か。

 さっき、聞こえたのは"助けてあげて"。

 思わず幻獣を呼び出してしまった。

 そのお陰で、強キャラである"ラオウ"が呼べたんだけど。

 しょうがねぇ、ここは天の声に従うか。


 後方に大きく飛ぶ、が何かにぶつかった。

 咄嗟に共食い野郎がさっき居た場所を見る。

 いない!

 なら答えはひとつだ。

 最速を持って、前方へと疾駆する。

 刹那、背中を何かで切り裂かれ、口から血が吹き出る。

 無理のしすぎ、かつ半致命傷。


「ぐっ……」


 何とか体勢を維持したいが駄目だ。

 地面を滑るように盛大に転がる。

 同時に"ラオウ"の気配も消失した。

 効果切れだ。

 強い。

 聞こえるのは耳障りな高笑い。


「アハハハハハハ、無様だな。しかし、よく避けた。レベル250の一撃を」


 冗談は眼鏡だけにしろよ。

 そんな化け物、人生において一度も見たことないっつーの。

 諦めるしかねぇか。

 後一回、スキルが使えるけど通用しそうな幻獣が見当たらない。


――諦めないで。

――頑張れ。


 薄れゆく意識を繋ぎ止めようと、沢山の声援が聞こえてくる。

 バーカ、ボロボロだっての。

 けれど、何だろうな。

 この声には答えなきゃいけない気がする。


 立った。


 1人だったら、そのまま諦めていたと思う。

 どうせ、死ぬならやってやるさ。


「使うぜ、ラスト……」


 社が浮かび、ガシャガシャとロールが回転する。

 導き出されたのは、


 "アズマ"

 "280"


 錯覚かと思い目を擦る。

 この世にこんなヤバいレベルの幻獣いるの?

 待ったなしで、私の身体に"アズマ"が宿る。

 

「くあっ、辛すぎなんすけどっ!」


 立ってるだけで、筋繊維が悲鳴を上げる。

 一撃だ。

 多分、それ以降は動けない。

 共食い野郎も異質な何かに気付いたのか、高速で此方に向かってくる。

 見える。

 さっきは黙視できなかった動きがハッキリと。

 てめぇのムカつく頭蓋に一撃ブチ込んでやる。

 

 激突は刹那。

 声が聞こえる。

 安心しろ、化け物は私が倒して見せるさ。


 "アズマ"の力を借りた全力の一撃をブチかました。


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