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幕間:スカウト達の総評

 転移陣からスカウト達が大地に戻ると闇が周囲を支配していた。

 身体には色濃い疲労があるが、急いで野営地に戻る必要がある。

 大国の王達に報告書を提出しなければならないからだ。

 

 野営地に帰還し、スカウト達はテントの一室を借りて会議に入る。

 最も評価が高かった者は勿論、大賢者のスキルを持つクリス。

 そのはずだったが、意見が割れたのだ。


「大空間を殴りつけた黒髪の少女を押したい」

「リルアという少女か」

「何故だ? 大賢者様の力を見ただろう。空間転移まで使用できるんだぞ」

「私も大賢者様を押す。何故、黒髪の少女に拘るんだ?」

「彼女は剣を背負いながら、一太刀も抜いていない……、それが恐ろしい」

「俺もそれに関して、違和を感じていた」


 大剣を担いだ大男が身震いを一つ入れて眉間を押さえた。

 世間から最高騎士と崇められる男が恐怖してる様子に一同息を呑む。

 そして、


「俺は剣を持つ様々な強者と戦い、沢山の部下を指南してきた」

「確かに貴方ほど、剣に生きたモノはいますまい」

「そうだ。その俺が彼女に感ずるモノは何一つ無かったのだ」

「何も無いとは、どういう意味でしょうか?」

「剣を抜く素振り、いや、最早剣など担いでいないと思わせる振舞い……」

「最高騎士の貴方が彼女の剣気を全く感じられなかったというのですか?」

「そうだ。攻略に剣は必要ないと、リルアは思っているのかもしれない」


 剣に生きた男の重みある発言に一同、静まり返ってしまう。

 スカウト達はリルアが一撃で魔物の死骸を一掃した時の光景を思い返す。

 ただのパンチ一発。

 約100メートル四方の大空間が一撃で、ほぼ最初の状態に戻ったのだ。

 次に背中の剣を抜き放つ場面を想像する。

 凄まじい威力を秘めた斬撃が繰り出されることは、想像に難くない。


「昔、聞いたことがある。勇者は剣で次元を切るのだと」

「次元斬か。賢者の空間転移もそれで破られ、勇者の配下になったとか」


 かつて、世界アルファを救ったとされる伝説の勇者。

 本来であれば、賢者が魔王の矢面に立って世界を救う筈だった。

 それを、実力で賢者を上回り、最前線へと組み込まれたのが勇者だ。

 勇者のスキルはどのような攻撃も対処できる万能迎撃にあるとされる。

 同じ攻撃は二度、勇者には通用しないのだ。

 それも、数百年前であり、伝説上の話となってはいるが。


「もしかしたら、リルアが勇者だという可能性もあるのではないか?」

「確かに。賢者様とは共に行動されているようだしな」

「まだ一人未知の存在がいる。女王を葬った者の実力が不透明なままだ」


 他は大体、その力の片鱗なるモノが垣間見えており、方向性も分かる。

 だが、リルアは空間をパンチしただけ。

 民族衣装が印象的な少女については、


「あの民族衣装を纏った少女の名は、ナナリーだな」

「彼女に関しても、ただ身体能力で敵を倒した様にしか見えませんでした」

「性格には難ありですが、彼女も大きな力を隠しているでしょうね」

「私達が外に出たのは時期尚早ということか……」

「それは何とも。さらに強力な魔物が出た場合、死者が出た可能性もある」

「ある程度の選別が出来た、それだけでも良しとするべきです」

「確かに。彼等が戻ればまだ、接する機会は幾らでもあるのだからな」


 さらに、女王蜘蛛との戦闘を精査する上で判明したことをまとめる。

 蜘蛛達の動きを止めたスキルが発動した際のことだ。

 スカウト達全ての視点から真っ先に反応していた人物が二人いたのだ。

 その二人も先に名が挙がったリルアとナナリーだった。


「では、総意をまとめるとしよう」


 スカウト達がまとめた結論はこうだ。

 最高能力者筆頭、クリス、リルア、ナナリー。

 リルアには勇者? という疑問符が付与されている。

 その他のメンバーも次点で格付けがされていく。

 低評価の扱いを受ける者は誰一人いない。

 皆、完全に合格ラインを軽々と突破している。

 そうして、スカウト達の話し合いは続き、夜は更けていくのだった。


 リルアはまだ知らない。

 弱者を装うために担いだ剣。

 それが、まさか勇者疑惑を生む材料となっていることを。


 本人はただ使うのをスッカリ忘れているだけ。

 剣に関しては、ド素人のため剣気もあったものではない。

 完全に飾りとなってしまった剣が陽の目を見るのは少し先のこと。


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