救出2
「「あっ!」」
お互いに声が出る。
当たり前だ、こっちはここに人間がいるとは思ってなかったのだから。
(ん、じゃあ、何で向こうは驚いたんだ?)
それを問う前に、現れた人たちは俺たちの後ろにいたカルダノに銃のようなものを向ける。
途端にそのカルダノ兵士は倒れこむ。
「やぁ、生きてる人がいて良かったよ。」
その中の1人がそう話を切り出して来る。
「君たちを助けに来た。」
あまりにも唐突すぎて、その場にいた者は思わず固まる。その様子に察したのかは分からないが、話を続けられる。
「あぁ、その前に挨拶かな?……俺は連合艦アンドロ……いや、いいか。名前は梅宮。えーっと他にも生きてる人はいるのかな?」
俺の方を見て来る。
「いや……居ないと……思います。」
そうか、と一言言い隣にいた部下らしき人の方を向く。
「確かに、この辺り以外には他に部屋はないですね。」
「んー……それじゃあ逃げようか。」
「梅宮って、沙織さんの名字もそうだったよね?」
梅宮という人に付いて、通路を早歩きして進む途中で、綾月さんから話しかけられる。
(そういえば逃げることに必死で、みんなのことを考えるのを忘れていたな。)
「あれ?サーちんの事知ってるの?今陸軍にいる……」
その話を聞いていたのか梅宮さんが聞いてくる。てか『サーちん』なんて呼んでるのか……
「は、はい。地球に居た時一緒に戦って居たので。」
「え⁉︎君らまだ学生でしょ?戦うって……まぁ向こうもそんな悠長なこと言ってる場合じゃなくなったのかなぁ……サーちん元気にしてた?」
「はい、そりゃもう。」
昨日の出来事を思い出す。
いや、眠っている時間が長くて、本当は昨日の出来事かどうか定かではないのだが……
その時だった。
何となくこのまま走り続けてはいけない感じがした。それは何となくだが、しかしまるで何か根拠があるかのように感じられた。
「あ、あの、ちょっと皆さん止まってください!」
その声に先頭を走る梅宮さんを含め、全員が振り返り、走るのをやめる。
「ん?どうかした?」
「い、いや……よく分からないんですけど……」
刹那、目の前の天井が落ちてくる。
辺りに鈍い音が響き埃が舞う。
「おい……皆大丈夫か?」
梅宮さんの声が聞こえた次の瞬間、目の前に現れたものに俺たちは驚きを隠せなかった。
「……茂部一君⁉︎」
煙の中から見えてきたのは、俺や綾月さんと同じクラスだった茂部一航平だった。
だが本来なら見覚えのある顔も、そのあまりにも変わり果てた姿によって別人であるかのように感じられた。
「何?知り合いなの?」
梅宮さんが銃口を茂部一に向けながら尋ねる。
「よぉ、薩美。それに綾月も。フハハハハハ。これは良い。ちょうど殺そうと思っていた奴らがいるんだからな。」
身体中に機械を埋め込まれ、いや、機械に茂部一君を埋め込んだと行った方が良いかもしれない。
なんせ、全身に肉と思われる部分はもはや顔しか残っていないのだから。
「高校の時の同級生です……」
「どうしちゃったの?茂部一くん……」
綾月さんも唖然としていた。
「どうしたって?こうなったのは君たちのせいだろ?と言っても、分からないか。君たちが僕を見捨てて逃げた後、僕は奴らにここに連れてこられ、脳を取り出された。」
脳を取り出された!?まさか、先ほどの機械に茂部一君を埋め込んだという表現が的を射ていたのか……
「そして、この機械の新たな身体を手に入れ、これから地球にそしてお前達に復讐した行くところだったんだよ。」
「ちょっといいかな?」
横から梅宮さんが口を挟んだ。
「これからと言っていたけれど、また地球に来ると奴らは言っていたのかい?」
「あぁそうだよ。つか誰だあんた?」
「んー、誰って言われるとこの人たちを助けに来た人……かな?」
「ふーん。まぁそんなことはどうでもいい。取り敢えずあんたらをぶち殺すわ。」
そういって右手を、それも銃と同化している手をこちらに向けてくる。
「みんな、後ろの角に隠れて!」
叫び声をあげる者、我先に逃げようと急ぐ者が出る。
(このままだとみんなが殺されるかも知れない。)
「茂部一くん!」
綾月さんに声をかけられた時、既に茂部一君は僕の後ろに立って居た。
(しまっ……)
だが撃たれる前に、後ろに立っていた茂部一君はその直後に梅宮さんの裏拳で体勢を崩していた。
「僕は暴力が嫌いだから話し合いで済ませたいんだけど、叶いそうにないね。」




