待機編②
「たっだいまぁぁ〜!」
結衣の声が聞こえるや否や体が前に突き飛ばされる。
「危ないだろうがぁぁぁ‼︎死ぬわ、マジで!」
「大丈夫だよーん。」
大丈夫じゃないですよ、えぇ、全然大丈夫じゃない。彼女は分かっているんだろうか?
俺が高圧電流の流れる巨大砲の制御部で作業していることを!
死ぬよ、マジ死ぬ!
こいつといると命が何個あっても足らない気がしてくる。
それに今日は……
「ユイサン、今日カルダノの本拠地に向かうってこと分かってマス?」
「もちのろん!」
即答。なんとなく分かってはいたけれども。
「頼むから静かにしててくれよ?」
また副長と喧嘩が始まるのだけは止めておかなければ。
「合点承知の助!」
同じ世代だよな……
ブリッジにまでの帰路にある、原子炉前でエンジニアのミカエルに会った。
「あ、艦長じゃないっすかぁ。どすか、彼女さんとは?」
ニヤついた態度でこっちを見てくる。
「だから彼女じゃないって〜。幼馴染ってだけ。」
「おぉ、萌えますね〜ロマンですね〜。」
「馬鹿にしないでよ〜。」
ミカエル・ジャスティン、彼はエンジニアとしてはうちの艦で一位の実力を誇るんだけど、いつもいじられる。ちなみに……
「やっほー、みかみか〜‼︎」
「こんちゃっす、結衣サン!」
結衣とは何かウマが合うんだよなぁ。
それにしても付いてくるなら一緒に来ればよかったのに。
「何してたの〜?」
「最近結衣さんとどうなんです?って聞いてたんですよ〜。そしたら、あいつと一緒にいるだけで幸せ、ですってよ〜。」
「ほんとぉぉぉ〜‼︎うれしぃぃぃい!」
「言ってねぇよ!」
「ほら恥ずかしがってる〜」
「やったぁぁぁ。」
あかん、この人たち止まらんぜよ。どげんかせんといかん。
「そ、そげんなことはないばい!」
もう方言のオンパレード状態で、頭が混乱してきた。
「ところで、みかみかはここで何してたの〜?」
ん、さっきも同じこと聞い出たんだけど……
「ですから、艦長と話を……」
「だーかーらー、その前だってば!」
何でそんなことを?
「あぁぁ、点検ですよ点検。」
まぁ、そうだよな。ここで作業してた訳だし。
「ふーーん、悠くん行こ!」
何事もなかったかのように俺を引っ張っていく。
そのままブリッジの扉前まで連れて行かれた。途中で何人かのクルーに変な目で見られたから、あとで艦内放送で弁解するか……
「何々、どうしたの?」
「ミカエルから目を離さないほうが良いよ。」
急に何を言い出すんだ。
「どうして?仲良い友達なんでしょ?」
「そう、仲良くしてるだけ。でも詳しくは分からないけど嫌な感じが最近するんだ。」
珍しいな、こんな落ち着いてる結衣は。
「分かった、気をつけるよ。」
「うん。ありがと。」
その時艦内にスティーブ提督の声で放送が入る。
『戦艦アンドロメダ、シリウス、ペテルギウス3機に告ぐ。作戦開始の開始まであと1時間になった。総員持ち場につけ!」




