18年前②
「ねぇ母さん。父さん遅くない?」
「きっと急用でも入ったんでしょう。ゆっくり待ってましょう。」
「今日は俺の誕生日なのに……」
ソファーに座りながらキッチンに立つ母さんに話しかける。
11月1日。
今日は俺の12才の誕生日だ。
まだ11月に入ったばかりだというのに、外は冷えている。
それはここがアラスカであることに起因し、同時に人々が家に篭り冬越えの準備をし始める季節であることを意味する。
昨日で高校の前期が終わった。
この歳で高校に通っているのは、母さんが非常に教育熱心で、幼い頃から英才教育をうけ、ありがたいことに飛び級して来た、という経緯がある。
小学校にいる頃は、『君の喋り方は小学生じゃない』と担任の先生から皮肉られた。
「もう12歳なんだから我慢するの。」
「子供扱いするなよ〜。」
するとドアを叩く音が聞こえた。
母さんに開けるよう言われドアを開けると、そこには二人の小さな子供がいた。
「スティーブお兄ちゃん、お誕生日おめでとう!」
女の子の方が花束を差し出してくる。
「ありがとう、唯ちゃん。」
この二人は父さんの同僚の人たちの子供だ。
「あら、二人とも来てくれたの?」
台所から母さんの声がする。しかし唯ちゃんの方には聞こえていないようで、
「ほら悠くんも!おめでとうは?」
しかし、そっぽを向いたままだ。すると、唯ちゃんが両手を悠くんの頭に持っていきグルッと俺の方に回して、
「ほら!おめでとうは?」
「んんー、おめでとぅ……」
「あ、ありがとう」
唯ちゃんの方は満足げな顔をしていた。
「二人とも外は寒いから中に入ったら〜?ココアあるわよ〜。」
「わーい、いこ!」
「うわっ‼︎」
袖を掴まれたまま無理やり引っ張られた悠くんはバランスを崩す。
「もー、唯ちゃんそんな引っ張ったらダメよ〜。」
「はーい!」
二人に続いて中に入る。
ふと窓の外を見る。
空はすでに暗くなり始めていた。
父さんは今頃何をしているだろうか……
「戦艦アルタイル大破しました。」
「っ⁉︎」
戦艦1隻をこれだけの短時間に沈ませるほどの技術を持っているのか。
こうなったら……
「武器庫の3番ハッチに入っているミサイルを装填してくれ。」
一斉にクルーたちが振り返る。
『あれには何が入っているんですか?』
今まで何度も質問されてきた。
その度に答えをぼかし、中を確認しようとする者には厳重に注意してきた。
それは、中身がまだ開発段階の武器であり、本部から固く他言せぬよう言われていたからだ。
「あの中には1発の爆弾が入っている。名を『EtO』……威力は計算上では水爆100個を同時に爆破したほどだ。まだ使った事がないから実際の威力はわからないが……そんな事はどうでも良い、今は早く準備するんだ!」
「りょ、了解しました!」
何としてもこの危機を乗り切らなくては……




