作戦会議2
「これよりカルダノ本拠地への攻撃の作戦会議を始める。」
スティーブ提督が近くにいた係員に目配せをする。
その後俺を見て、
「何をそんなとこに突っ立っている。さっさと自分の席に戻れ。」
「は、はぁ。」
面倒いなぁ、この人。
やっぱり苦手だ。
自分の名が書かれた席に戻ると目の前の電子パネルが埋め込んである机に作戦の内容が書かれていた。
「そこに書いてあるよう、今回のカルダノの戦艦の残骸から奴らがどんな所を通ってきたかがわかった。奴らの生活すると思われる星は太陽系の外縁部、エッジワースカイパーベルト内、内側から約三光秒の位置にある。方角は現時点で地球角四十五度、地球上で北緯三十度東経百三十度を通る。」
エッジワースカイパーベルトってのは太陽系の端に存在するたくさんの小さな粒や岩が帯状に集まったもののことだ。地球からの距離は45億キロメートル。
そして、地球角ってのは方角の存在しない宇宙に無理やり方角を決めたものだ。
地球の核を中心として太陽と目的の星を結び角度を求め、それからその面上にある地球の座標を決めたものだ。
これの利点はありとあらゆる星を表すことができる点だが、唯一の欠点は地球が公転しているため常に星を表す地球角が変化してしまうことだ。
まぁ、それほど遠い星へ人類は行ったことがないから影響はないが。
「カルダノが侵攻してきた際にカルダノの生活する星と繋がっていると思われるポータルがいくらか地上に落ちたそうだ。その中から出てきたカルダノの軍勢で地上はかなり荒れているらしい。
その中でポータルに連れて行かれそのまま消えた、という報告が入った。
そこで今回、カルダノの殲滅とともにさらわれた地球人の奪還も任務に入れることとする。
異論は無いな?」
皆が無言で頷く。
「よし、それでは総司令官からの作戦内容を伝える。」
手元の電子パネルの画面が切り替わる。
「今回出撃するのは新型機三機、ベテルギウス、シリウス、そしてアンドロメダだ。
エッジワースカイパーベルトまではスリップストリームを使い、そこからは通常速度で向かってもらう。」
スリップストリーム、それはよく言うワープの様なものだ。18年前にカルダノが攻めて来た際、奴らの残骸の中から偶然人類が発見し、今に至るまで研究を続けてきた。使える様になるまでの犠牲は数え切れないほどだが……
速度は約秒速10万4,000キロだ。わかりやすく言えば、一秒間で地球を2周半する。
スリップストリームを使えば、エッジワースカイパーベルトまで十二時間、といったところだろう。ただし
時空を超える道具、という訳では無いので間に小惑星などがあると、船は一瞬で砕け散る。そのためしっかりとコンピューターで計算した上で使わなくてはならない。
「カイパーベルト帯に着き次第ベテルギウスはエネルギーチャージを開始し、その間にシリウスはスペースファイター部隊を展開、アンドロメダはスペースファイターと共にカルダノの本拠地へ向かってもらう。以上だ。」
そして提督は一息スッと吸い、
「十八年前の借りはきっちり返してもらうぞ!」




