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ラストヒーローズ   作者: やましくないヤマシィ
宇宙奪還編
27/52

先制攻撃3

五発の弾丸はプロキオンの船体に直撃した後、更に爆発を起こした。

「おい、本当に五発の弾丸だったのか?」

たった五発であれほどの威力が有るとは思えない。

「はい、間違いありません。」

「なら一体なんなんだ?」

「それは分かりませんが、被害が大きいことだけは確かです。」

「今プロキオンにはどのくらいの生存者がいる?」

「現在セオルド艦長を含む二十名ほどのクルーがいると思われます。他のクルーは皆脱出したようです。」

「よしδ分隊を救助に向かわせろ。あの隊の新隊長は元プロキオンのクルーだ。艦内の事もよく知っているだろう。」

「了解、連絡を入れます。」

その時操縦席から声がかかる。

「艦長!プロキオンの前に出ました!」

「分かった。トンプソン、船体をカルダノに対して百八十度横に回転させろ。それから右舷側の攻撃施設にカルダノを牽制する様言ってくれ。」

「了解!」



五発の弾丸が当たり、艦内は火事が至る所で起こっている。

「艦内に残っている者は、直ちにポッドで脱出しろ!」

攻撃デッキにいる者たちには生きてもらわなければ。

「最後まで戦ってくれてありがとう。」

これまでの自分の人生を振り返る。(二十五の時宇宙局に入り、三十八で宇宙飛行士の免許を取得。あれを取れた時は家族どころか会う人会う人に言ってたっけ?五十になって戦艦プロキオンの艦長に配属。俺が教えてきたのは何かあったかな……仲間を見捨てるな、とか言ってたっけ?

思えば、そんな事を口にしてきても、行動するやつなんていないよな。)

再び爆発が起こり、ブリッジの天井板が落ちる。

(この船とは18年の付き合いだったが、もう少し一緒に過ごしかったなぁ。)

その時、ブリッジのドアが開く。

「セオルド艦長!」



ファイターをハンガーに停め、数人の隊員とともに中へ進む。

プロキオンの船内に入った時、地獄とはこういう物を言うのかと思った。

あたり一面火で覆われ、自動消火装置だけではとても足りそうになかった。

そんな中、耐熱性に優れたこの服に感謝しつつ、まっすぐにブリッジへ向かった。ドアを開けようとしたがとても熱くて触れそうで無かったので、飛び蹴りをして無理やり入るとそこには……セオルド艦長がいた。



「セオルド艦長!」

その声は少し前に聞いた声、仙道のものだった。

「どうして戻ってきた!もう壊れる寸前だぞ!」

「あんたが仲間を見捨てるなとか言ってるから、こうやってきてるんですよ!さぁ、ファイターまで急ぎますよ!おい、手を貸してくれ。」

「はい!」

すでに俺自身、全身に軽いやけどを覆っていて体が言う事を聞かなかったから少し楽になった。

「アンドロメダ、こちら仙道。セオルド艦長と合流した。これから帰還するから治療デッキの準備をしてくれ!」

「了解!」

「さぁ、もうちょっとだから頑張って!」

「俺は置いて行け。ただの年老いた邪魔者だろ。」

そう言うと、仙道は

「誰もあんたの事を邪魔者だったなんて思ってるクルーは、プロキオンにはいないですよ。まぁ俺はもうアンドロメダのクルーですが。」

私も長く生きてきて良かったと思う。こんな隊員を持てたのだから……

「か、艦長⁉︎死なないでください。い、意識が飛んで来てる!死んだらだめだ……」

意識は徐々に遠退いていった。




目を覚ますとそこはまばゆい光に包まれていた。

「目がお覚めになりましたか。どうです、気分は?」

ベッドから体を起こす。

段々と光に目が慣れていき、そこに一人の女性が座っているのが見えた。とても綺麗な人だ。

「君は……?」

「私ですか?私はシャルロット=ヴィーナスですよ。」

どこかで聞いたことのある名だ。

「私は……死んだのか?」

あの火の中を進んでいた記憶がフラッシュバックしてくる。

するとその女性はふふっ、と笑い

「死んでたら、今目を覚ましてませんよ。死にかけてましたけどね。ここに来た時には、呼吸もなくて心拍も小さくなってましたよ。」

と微笑みながら言う。

「君が助けてくれたのか?ここは?それに私のそばにいた隊員たちはどうした?」

聞きたいことは山積みだ。

「彼らなら無事ですよ。あとここはアンドロメダの中です。」

そうか、仙道たちの救助が成功したのか。

「艦長に会わせてくれるか?」

「分かりました、少し待ってくださいね。」

そう言って彼女は部屋から出て行った。

部屋にはこのベッド以外には一つ棚があるだけだった。棚の中には薬らしきものがあり、彼女が座っていた椅子の近くの机には、何種類かの薬が出ていた。

「失礼します、セオルド艦長。」

そんなことを考えているうちに、アンドロメダの艦長が来た。

「失礼も何も君の艦だろう、梅宮艦長?」

「いや、年上の先輩ですからね、流石に気が引けますよ。」

頭を掻きながら答える。

「助けてくれてありがとう。礼を言うよ。」

「礼なら仙道たちに言ってください。まぁヴィーナスさんの貢献も大きかったんですけどね。あの人にかかればみんな治るので。」

「もしかしてヴィーナスってあの戦争での女神と謳われたヴィーナスか?」

「えぇそうです。」

「彼女だったのか。もう半ば伝説のようだったから、空想上のものだと思っていた。」

こんなとこで会えるとは……

「一応聞くが、プロキオンとカルダノはどうなった?」

その途端梅宮艦長の顔が曇る。

「プロキオンはセオルド艦長を仙道らが救出してから、二分後にバラバラになりました。」

ふぅーー、っと一息吐く。

「で、カルダノはやったのか?」

「えぇ、ベテルギウスのレーザー砲で五機を落とし、残りの一機もすぐに破壊しました。」

「そうか……」

「失礼します!」

ドアから声が聞こえる。

「どうした、エドワード?」

「会議があと二時間後に本部で開催されるとの連絡が入りました。すぐにご準備を!」

「分かった、すぐ行く。」

そのまま梅宮はこちらを振り返り、

「そういうわけなので、失礼します。……あ、元気になったら仙道やプロキオンのクルーの皆さんに会ってくださいね、皆喜びますよ。」

そう言って部屋を出て行った。

「あれが新しい戦艦の艦長か……」

あの笑顔からしてどう考えても戦争に向いた顔ではない。だがどうしてだろうか、彼についていくものは多そうな気がする。

「ああいう者も必要なのかもしれんな。」

そのままベッドに横たわり、目を閉じた。






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