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第23話 ちゃんと会うために(後編)

【最終スレ】勇者と、ちゃんと会う件 Part22


1:魔王 ◆VaLgRaVe

城に戻った。

勇者は――白石という名だ。今まで書けずにいたが――客間で眠っている。

目覚めるまで、あと一日ほどだそうだ。目覚めたら、会う。

その前に、皆に、相談したいことがある。


2:名無しさん

おかえり魔王さん!


3:名無しさん

ちょっと待って


4:名無しさん

「勇者」って書けてる!!


5:名無しさん

検閲されてない!?


6:魔王 ◆VaLgRaVe

>>4、>>5

……本当だ。

システムは、満月の夜から、ずっと「再計算中」としか告げてこない。

検閲も、止まっているらしい。


7:名無しさん

システム、フリーズしてて草


8:名無しさん

例の方って呼ぶの、ちょっと寂しかったから嬉しい


9:名無しさん

でも「例の方」呼び、なんか愛着あったわ


10:◆PDCAおじさん

魔王さん、おかえりなさい。

ご相談、承ります。


11:魔王 ◆VaLgRaVe

>>10

勇者と、どこで、どう会えばいい。

前回は、謁見の間で、城中の者が並ぶ中で迎えようとした。

それが、良かったのかどうか、分からなくなった。


12:◆PDCAおじさん

>>11

良い質問です。

私の意見を申し上げます。謁見の間は、やめましょう。

玉座と、広間の中央。高いところと、低いところ。

あれは、王と臣下、魔王と勇者が会う場所です。

今回お会いになるのは、魔王と勇者ではなく、ヴァルさんと白石さんでしょう。


13:名無しさん

課長……


14:名無しさん

ヴァルさんと白石さん、いいな


15:◆PDCAおじさん

小さな部屋で。同じ高さの椅子で。間に、お茶を置いて。

1on1と、同じです。


16:魔王 ◆VaLgRaVe

>>15

分かった。

秘書官が、東の客間の露台がいいと言っている。

朝日が入り、城下の街と、遠くに湖が見えるそうだ。


17:名無しさん

最高のロケーション


18:名無しさん

秘書官さん有能


19:名無しさん

お茶菓子は?


20:名無しさん

大福だろ!!!


21:名無しさん

それな! 工作員ちゃんの報告で、例の……白石さんの好物、大福って言ってた!


22:魔王 ◆VaLgRaVe

>>20、>>21

ダイフク。

白くて、ふわふわした、甘い菓子だと聞いている。

作り方を、教えてほしい。城の料理長に作らせる。


23:名無しさん

任せろ


24:名無しさん

まず、もち米っていう、粘りの強い米を蒸して、ついて、餅にする


25:名無しさん

で、小豆っていう豆を、砂糖で甘く煮て、あんこにする


26:名無しさん

餅であんこを包んで、粉をまぶして完成


27:名無しさん

異世界にもち米と小豆あるのか?


28:魔王 ◆VaLgRaVe

>>24、>>25

粘る米なら、心当たりがある。

勇者が湖にした湿原の跡地で、沼地の村の者たちが、試しに米を植えていた。

ちょうど、最初の実りがあったそうだ。

粘りが強すぎて、普通の米として食べにくいと、困っていた。

赤い豆は、北の砦の近くで採れる。


29:名無しさん

え


30:名無しさん

勇者の湖の米で大福!?


31:名無しさん

伏線回収の鬼か


32:名無しさん

泣かせにくるのやめろって言ってるだろ


33:魔王 ◆VaLgRaVe

もう一つ、相談がある。

我は、勇者に、何を話せばいい。

勇者は、謝りたいと、礼を言いたいと言っていた。

だが、我の方は、何を言えばいいのか、分からん。

秘書官に聞いたら、「それは、陛下がご自分で考えることかと」と言われた。


34:名無しさん

秘書官さん、厳しいけど正しい


35:名無しさん

それは魔王さんが自分で考えないとな


36:◆PDCAおじさん

>>33

秘書官さんの言う通りです。

ただ、一つだけ、ヒントを。

魔王さんは、白石さんに、ずっと、何かを聞きたかったのではないですか。


37:魔王 ◆VaLgRaVe

>>36

……ある。

帰りたいか、と。


38:名無しさん

ああ……


39:名無しさん

それだよな


40:名無しさん

一番大事なやつ


41:◆PDCAおじさん

>>37

でしたら、それを、聞いてあげてください。

実は、私たちも、少しずつ調べていました。

召喚陣のこと。

システムのこと。

それから、聖王国の騎士団長さんが、ピッチさんを通じて、知らせてくださったことも。

召喚陣は、満月の夜から、光を失っています。

ですが、陣の線は、消えていない。

そして、陣の中心から、一本だけ、細い光の糸が、どこか遠くへ伸びているそうです。


42:名無しさん

光の糸……


43:名無しさん

それ、日本に繋がってるんじゃ


44:◆PDCAおじさん

>>43

まだ、分かりません。

ですが、可能性はあります。

魔王さん。もし白石さんが、帰りたいとおっしゃったら。


45:魔王 ◆VaLgRaVe

>>44

帰り道を、探す。全力で。

三百年、勇者を殺してきた。今度は、勇者を、帰す。


46:名無しさん

魔王さん……


47:名無しさん

それが答えだよ


48:名無しさん

でも、帰っちゃったら、寂しいな


49:名無しさん

>>48

それは言うな。……俺も思ってるけど


50:魔王 ◆VaLgRaVe

>>48、>>49

我もだ。

だが、それを決めるのは、勇者だ。


51:名無しさん

強くなったなあ、魔王さん


52:名無しさん

最後に一個だけアドバイス

胃薬は、飲んでから行け


53:魔王 ◆VaLgRaVe

>>52

二包、用意した。


54:名無しさん

正直で草


55:名無しさん

二包はガチの緊張


56:魔王 ◆VaLgRaVe

皆。

最初のスレを立てた時、我は、勇者を殺す方法を聞いていた。

今、我は、勇者と茶を飲む方法を聞いている。

三百年、一人で全部を背負ってきた。

誰にも相談せず、誰にも弱音を吐かずに。

皆が、それを、変えてくれた。

礼を言う。心から。


57:名無しさん

やめろ


58:名無しさん

こっちこそだよ


59:名無しさん

最初「なりきり乙」って書いた俺を許してくれ


60:名無しさん

>>59

Part1の>>2お前かよw


61:◆PDCAおじさん

>>56

魔王さん。

私も、礼を申し上げます。

私は、現実の世界で、課長をしています。

毎日、上と下に挟まれて、胃を痛めています。

部下の話を聞く余裕も、自分の弱音を吐く相手も、ありませんでした。

魔王さんに、偉そうにPDCAだの1on1だのと申し上げながら、

本当は、自分に言い聞かせていたのかもしれません。

魔王さんが変わっていくのを見て、私も、少しだけ、変われた気がします。

先週、初めて部下と、ちゃんと1on1をしました。

ありがとうございました。


62:名無しさん

課長ーーーー!!


63:名無しさん

課長も救われてたのかよ


64:名無しさん

このスレ、全員救われてる


65:魔王 ◆VaLgRaVe

>>61

課長。

お前の胃も、大事にしろ。


66:◆PDCAおじさん

>>65

……はい。


67:名無しさん

胃弱同盟


68:名無しさん

なあ、これ「最終スレ」ってタイトルだけどさ

最終にするの、やめようぜ


69:名無しさん

>>68

賛成


70:名無しさん

帰り道探すなら、まだ俺らの出番あるだろ


71:魔王 ◆VaLgRaVe

>>68、>>69、>>70

……そうだな。

今、工作員から、念話が届いた。

勇者が、目を覚ましたそうだ。

明日の朝、東の客間の露台で、会う。


72:名無しさん

きたああああ


73:名無しさん

明日!!


74:名無しさん

実況してくれる?


75:魔王 ◆VaLgRaVe

>>74

いや。

明日は、掲示板を閉じて、勇者と話す。

終わったら、必ず、報告する。


76:◆PDCAおじさん

>>75

それが、一番です。

行ってらっしゃい、魔王さん。


77:名無しさん

行ってらっしゃい


78:名無しさん

いってらっしゃい


79:名無しさん

報告待ってる


80:名無しさん

魔王さん、がんばれ


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