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第2話 闇牙のガルム(後編)

【悲報】勇者が殺せない件 Part2


1:魔王 ◆VaLgRaVe

前スレの者たち、報告する。

>>7の案に従い、我が軍で四天王に次ぐ魔獣を勇者にぶつけた。

結果、魔獣が勇者の仲間になった。


2:名無しさん

は?


3:名無しさん

スレ立てるの待ってたwww


4:名無しさん

仲間になったは草


5:名無しさん

敵に戦力渡してて草


6:名無しさん

詳細はよ


7:魔王 ◆VaLgRaVe

>>6

戦い自体は、こちらが優勢だった。勇者は剣を溶かされ、何度も吹き飛ばされていた。

だが勇者が布を取り出して魔獣の前足にしがみつき、土煙が晴れたら、魔獣が真っ白になっていた。

瘴気がすべて消え、腹を見せて転がり、勇者に撫でられていた。

本人いわく、毛並みがさらさらになったそうだ。


8:名無しさん

さらさらwww


9:名無しさん

もふもふ化してて草


10:名無しさん

テイマー系のスキルじゃね? 魔物を手懐けるやつ


11:名無しさん

>>10

それだと毒が効かなかったのが説明つかなくね


12:名無しさん

浄化系だろ。瘴気消えて白くなったんなら完全に浄化


13:名無しさん

聖女ならぬ聖男か


14:魔王 ◆VaLgRaVe

>>12

我もそれを疑った。だが聖王国の神官ですら、あれほどの瘴気は払えぬ。

浄化魔法なら詠唱があるはずだが、斥候によれば勇者は一言も発していない。

あと、戦いの最中に果物のような酸っぱい匂いがしたそうだ。


15:名無しさん

酸っぱい匂いってなんだよ


16:名無しさん

レモンの匂いの勇者


17:名無しさん

トイレの芳香剤かな?


18:魔王 ◆VaLgRaVe

>>17

トイレノホウコウザイとはなんだ。聖遺物か。


19:名無しさん

草


20:名無しさん

異世界にはないのかよwww


21:名無しさん

まあ聖水とかポーション系のアイテムってことにしとこうぜ。匂いの正体は


22:名無しさん

でも真面目な話、直接戦わせるからダメなんじゃね?

近づくと何かされて無力化される。だったら近づかせなきゃいい


23:名無しさん

>>22

それな。罠だよ罠

落とし穴、落石、矢の雨、吊り天井。勇者が触れる前に削れ


24:名無しさん

ダンジョンの基本だよな。罠ゾーンで消耗させてからボス


25:名無しさん

不思議なダンジョン系のゲームでも、死因の半分は罠


26:魔王 ◆VaLgRaVe

>>22、>>23

なるほど。触れさせなければ、何をされることもない。理にかなっている。

フシギノダンジョンという場所は知らぬが、相当な難所と見た。


27:名無しさん

難所(ゲームの話)


28:名無しさん

魔王さん、白くなったペット取り返さなくていいの?


29:魔王 ◆VaLgRaVe

>>28

念話で何度も呼びかけているが、毎回「今ブラッシング中なので後にしてくだされ」と切られる。


30:名無しさん

完全に向こうの犬で草


31:名無しさん

ブラッシングしてもらってるのかよ


32:魔王 ◆VaLgRaVe

罠の案を採用する。勇者の進路となる街道に、魔王軍工兵隊の総力をもって罠を仕掛ける。

今度こそ報告を楽しみにしていてくれ。


33:名無しさん

フラグ立てるのやめろ


34:名無しさん

これ絶対だめなやつ


35:名無しさん

次スレも待ってる


◆ ◆ ◆


「工兵隊長のドルガンを呼べ」


板を閉じたヴァルグレイヴの声には、久しぶりに張りがあった。


「罠、ですか」


リリエラが書類を抱えたまま首を傾げる。


「そうだ。勇者は、近づいたものを無力化する何かを持っている。

毒も、ガルムも、勇者に触れて駄目になった。ならば触れさせなければいい」

「……陛下。それは、異界の者の入れ知恵ですか」

「参考意見を聞いただけだ」


リリエラは数秒、主の顔を見つめた。それから小さくため息をつき、一礼する。


「承知しました。ドルガン殿を呼んでまいります」


秘書官が出ていった後、ヴァルグレイヴは窓の外に目をやった。

夕日に染まる魔王領の街並み。煙突から立ち上る夕餉の煙。三百年かけて築いた、平穏な景色。

これを守るためにも、死ぬわけにはいかない。


「……それにしても」


魔王は、謁見の間の方角を見やった。

ガルムが出ていく時に残した、黒い焦げ跡のような足跡。

あれは瘴気が染みついたもので、魔王城の清掃係がどれだけ磨いても、百年間落ちなかった代物だ。

そのガルムの瘴気を、勇者は一瞬で消した。


「いったい、どんな力だ」


答えは出ない。

胃の奥が、じくりと痛んだ。


――――――――――


【報告】勇者の進行度:8%

【警告】魔王軍の戦力が低下しています。


――――――――――


「分かっている。言われずとも分かっている」


魔王は、浮かんだ板を手で払いのけた。


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