第5話 嘆きの腕輪(後編)
【悲報】勇者が殺せない件 Part5
1:魔王 ◆VaLgRaVe
報告する。
前スレの案に従い、工作員から勇者へ、呪いの腕輪を贈り物として渡させた。
身につけた者の生命力を吸い続け、決して外れない呪具だ。
初めて効いた。勇者は立ちくらみを起こし、半日寝込んだ。
夕方、勇者は腕輪が「くすんできた」と言い、布で拭いた。
呪いが消えた。腕輪は外れないまま、ただの綺麗な腕輪になった。
勇者は「ずっとつけていられる、大事にする」と喜んでいるそうだ。
2:名無しさん
あああああ
3:名無しさん
惜しい! 初めて効いたのに!
4:名無しさん
呪いの装備を普通のアクセにするなwww
5:名無しさん
「外れない」が「ずっとつけていられる」にポジティブ変換されてて草
6:名無しさん
ちょっと待って、布で拭いたら消えたの?
7:魔王 ◆VaLgRaVe
>>6
工作員の報告ではそうだ。前回の短剣も、ガルムの時も、勇者は布を使っている。
あの布が鍵だと我は見ている。おそらく、異世界から持ち込んだ聖遺物の類だろう。
8:名無しさん
聖なる布か
9:名無しさん
じゃあ布を盗めばいいんじゃね?
10:名無しさん
>>9
天才
11:名無しさん
でも罠の時は枝の束使ってたんだろ? 布だけが鍵とは限らなくね
12:名無しさん
毒の時は皿を拭いてただけだし、そもそも毒入りシチュー完食してるからな。布関係ない説
13:名無しさん
つまり本体は勇者で、布とか枝は媒体ってことか
14:魔王 ◆VaLgRaVe
>>13
その可能性も高い。だとすれば、布を奪っても無駄だ。
だが一つ分かったことがある。勇者は、呪いが効いてから消すまでに半日かかった。
つまり、勇者は呪いにすぐには気づかない。気づいてから消す。
15:名無しさん
おお、魔王が初めて攻略の糸口つかんでる
16:名無しさん
じゃあ気づかせなきゃいいんだな
17:名無しさん
気づかない攻撃……幻術とかどう?
触れたもの消すんなら、触れても実体がないものは消せないだろ
18:名無しさん
>>17
幻覚の町を作って閉じ込めるとか
本物そっくりの宿場町を幻で作って、勇者が気づかないうちに永遠に同じ町をループさせる
19:名無しさん
夏休みが永遠に終わらないアニメの回かな
20:名無しさん
>>19
やめろ
21:名無しさん
いや、普通にアリだと思う。殺せないなら閉じ込めればいい。
魔王の目的は死なないことなんだろ? 勇者が城に来なきゃいいんだから
22:魔王 ◆VaLgRaVe
>>21
……その発想はなかった。
確かに、我の目的は勇者を殺すことではなく、生き延びることだ。
勇者が永遠に我のもとへたどり着かなければ、それでいい。
23:名無しさん
魔王が目的と手段を取り違えてたの草
24:名無しさん
殺さなくていいならスパイも犬も悲しまなくて済むしな
25:名無しさん
てかスパイちゃん大丈夫なの? 任務失敗して泣いてたんでしょ
26:魔王 ◆VaLgRaVe
>>25
潜入は継続させている。処分はしていない。
27:名無しさん
優しい
28:名無しさん
魔王さん、腕輪の呪い消えたって聞いて、ちょっとほっとしてない?
29:魔王 ◆VaLgRaVe
>>28
していない。
30:名無しさん
即答で草
31:名無しさん
してるやつの即答だ
32:魔王 ◆VaLgRaVe
幻術の町の案を採用する。我が軍には、幻術を極めた魔族がいる。
33:名無しさん
今度こそ……今度こそ……(無理だと思う)
34:名無しさん
次スレも待ってる
◆ ◆ ◆
「――殺さなくて、いい」
板を閉じた後、ヴァルグレイヴは独りごちた。
三百年間、勇者が来るたびに、殺してきた。そうしなければ自分が殺される。
予言がそう告げている。疑ったことはなかった。
だが、異界の者に言われて初めて気づいた。
我が望んでいるのは、勇者の死ではない。自分の生だ。
「リリエラ。幻惑の魔女、ミラージュを呼べ」
「承知しました」
リリエラは一礼し、それから扉の前で、ふと振り返った。
「陛下」
「何だ」
「今の作戦、良い作戦だと思います」
それだけ言って、秘書官は出ていった。
ヴァルグレイヴは、しばらく閉じた扉を見つめていた。
その時、目の前に、半透明の板が浮かんだ。
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【警告】魔王の目的は、勇者の討伐です。
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ヴァルグレイヴは、眉をひそめた。
システムが、こちらの独り言に反応したことは、これまで一度もなかった。




