206話目
「じゃあ、うちにさっさと倒されてしまいな」
「一応言っておきますけど、私、アイちゃんより強いですよ?」
「はんっ、はったりはうちには効かん。向こうの狐っ子は、ミカに倒される。あとは、アイと他の奴らをじっくりと倒していくだけじゃ」
「はったりじゃないですけど、やればわかりますね」
「狐っ子の援護を期待してるんか? 無理無理、ミカはヤモリとイモリ、2種類に変身できる。それに対応できなければ勝てん」
聞いても無いのに、むしろ会話になってない気がするけど、勝手にミカさんの秘密を話していますね。いえ、ミカさんも最初から2種類に変身できるって言ってましたね。それだけ自身があるってことか、バレても問題ないって事ですかね? それとも、単純に自慢したいだけとか? そんなわけないですよね?
「それで、私にはどう勝つんです?」
「普通に倒して終わりじゃ」
白石さんはそう言うと、私に殴り掛かってきます。え、普通に力づくですか。私は正面から白石さんの両手を掴んで押さえます。
「うっ、思ったよりも力が強いじゃないか。・・・え? あれ、ちょっ、本当に動けない」
「だから言ったじゃないですか。じゃあ、ヨウコさんの手助けに行くので」
私は右手だけを放し、拳を握ります。
「ちょ、待―――」
ゴスッという音と共に、白石さんは私に殴られて吹き飛んでいきます。本気では殴っていませんが、恐らく気絶するでしょう。気絶してなかったとしても、しばらくは動けないと思います。
私はすぐにヨウコさんの方へと向かいました。ヨウコさんは、膝をついてうずくまっています。
「どう? あたしの毒は」
「ちっ、うちが攻撃したはずなのに・・・」
「触れたらあたしの勝ちってね」
「ヨウコさん!」
「カエデ? 勝負は? 勝ったの?」
「はい。殴り飛ばしてきました」
「えぇ~、何ガキ相手に負けてんの、あいつ」
ミカさんが白石さんの様子を確認するためによそ見していたので、その間にヨウコさんを安全な場所へと移します。
「あっ、勝手に逃がしてるし」
「今度は私が相手ですよ」
「あたしはあいつみたいに弱くないから、ね!」
ミカさんが、一瞬で爪を私の首へと刺してきます。けれど、普通に早いですが、ハルカさんよりは全然遅いですね。
「よっと」
私はその腕を左手で取って、右手でひじを極めます。そのまま地面へと押し倒します。
「くぅっ、見た目と違って力もスピードもあるとか反則じゃん。まあ、あたしに触れたら負けっていったっしょ」
ミカさんはそう言うと、少し姿が変わり、表皮がぬるぬるっとしてきました。そして、私の拘束を抜け出されました。
「あんたも毒って終わりー。じゃあ、あたしはアイのやつを―――」
「少しピリピリしますけど、それだけですね。あっ、もう治りました」
「嘘っ!? なんなのあんた。普通の人間じゃないね」
「普通の人間ではありませんが、それはお互い様なのでは?」
「まあ、それでもあたしを倒せるとは思えないけど」
確かに、ミカさんの体はぬるぬるで、私の打撃も掴みも効かなさそうですね。




