200話目
ヨウコさんがマミコさんに連れられて建物の中へと向かった。私はその話には参加しないので、外で待つことにする。マミコさんと敵かもしれないヨウコさんを2人きりにしないよう、エリが一緒に中へ残った。
「アイちゃん、帰ってこないなぁ・・・」
20分ほど経ったけど、アイちゃんは戻ってこない。どこまで頭を冷やしにいったのだろう?
どんな話をしているのかは分からないけど、1時間くらい経った。すると、アイちゃんが戻ってきた。汗だくで。なんで頭を冷やしに行ったのに息切れしながら戻ってきたんだろう?
「アイちゃん・・・?」
「ちゃんづけは・・・いや、それはいい。さっきは悪かったわね」
「ううん、別に構わないよ」
「それはそうと、本当に年上なの?」
「さっき言った年齢は本当。だけど、10年ほど寝たきりだったから、私の記憶は中学までだけどね」
「それは・・・」
「あっ、別に病気や怪我で寝たきりだったわけじゃないよ? この体になるのに10年かかったって感じかな?」
「じゃあ、本当に年上なん・・・ですね」
「別に話し方は変えなくてもいいよ。さっき言った通り、私としては中学生な感じだから」
「分かったわ。それで、ヨウコは?」
「中でマミコさんと一緒に話してるよ。アイちゃんも入る?」
「いや、うちはいい。説得とか、話し合いとかは苦手だから」
「私も。だからこうして外で待ってるの」
「そっか」
それからしばらくお互い黙った。何を話せばいいのか分かんないし。あ、気になることはあった。
「2人で活動してるの?」
「ああ、そうだよ。ヨウコとは子供のころからの知り合いなのよ。愛知を出てからこの力を得た。そして、ヨウコにも力を分けて、一緒に暮らせるところを探してた。広島なのは、ここにきて戦力が整ってきたからだよ」
「そうなんだ。どうやって力を分けたの?」
私は純粋に気になったので聞いただけなんだけど、アイちゃんの耳が赤くなった。
「えっと・・・キスで・・・」
「え? キス?」
「そう。私は犬から力を得たんだけど、ヨウコには多分キスで力が移ったと思う。それ以外、思い当たるふしは無いし」
「キスで・・・」
え。ヨウコさんもアイちゃんも女の子だよね? なんでキスしてるの? どういう雰囲気で? どういうタイミングで? なんで? なんで?
私は口に出そうになった言葉をぐっと飲み込む。聞きたいけれど、聞いちゃいけない感じがするし。アイちゃんとヨウコさんは親戚だって言ってたから、きっとナノマシンも馴染んだんだろう。それは問題ないけど、そのナノマシンの分け方がキス・・・。
私とアイちゃんは、しばらくお互いの顔を真っ赤にしながら無言でたたずんでた。




