198話目
アイちゃんは鼻血を出しながら吹き飛んでいきました。あちゃー、アイちゃんの両手の犬の口から血がだらだらと垂れています。どうやら、舌をひきちぎっちゃったみたいですね・・・。
「これ、返しますね・・・」
私は、涙目でこっちを睨んでいるアイちゃんに、両手の舌を放り投げました。
「やってくれたな・・・」
アイちゃんは、その舌を両手の犬でぱくりと食べました。犬の口がどこに通じているのかすごく気になりますが、自分の舌を自分で食べて、そのエネルギーで再生したようです。ついでに鼻血も止まったみたいですね。
「ちょっと痛めつけて、謝ったら許してあげようかと思っていたけど、もう許さないから」
「別に、私は悪いことをしてないから謝らないよ? それに、負けるのはそっちだし」
「言ってろ」
アイちゃんの両手の犬の牙が伸びていきます。それと同時に、硬化してるような音がしますね、ベキベキって。
「ふっ!」
アイちゃんが私のお腹を殴ってきました。私はとっさに左腕で防ぎましたが、ガキンッって石同士がぶつかるような音がしましたね。アイちゃんは、表情が落ちたような感じで、無表情で殴ってきます。
「やっと本気だしたんだ?」
「・・・・・・」
アイちゃんは、私の問いに答えず、ひたすら攻撃してきます。それだけ戦いに集中し始めたって事でしょうか。私としては、さっきまでの喧嘩の様な闘いなら楽しかったのですが、殺気のこもり始めたアイちゃんの攻撃には楽しさを感じなくなりました。
さらに、アイちゃんはさっきまでは本当に私に手加減していたようで、今は人体の急所をちゅうちょなく攻撃してきます。まあ、私に人体の急所なんて無いんですけどね。
「マミコさん達をどうするつもりだったの?」
「・・・広島に連れて行ってやろうと思っただけよ」
「あっ、ちゃんと喋ってくれるんだね」
「・・・チッ。お前らは絶対に入れてやらねぇ」
「別に入れてほしいなんて言ってないけど。それで、連れて行ってどうするつもり?」
「別に。そこで普通に暮らせばいいだろって思ったんだよ。ここより安全だ」
「本当に安全なの? 奪い取った街だよね?」
「ああ。だから、今はうちの街だ」
どうやら本当にマミコさん達を街へ連れていくために来たみたいですね。悪意はなさそうなので、ここで退治するわけにはいきませんね。でも、攻撃をやめないのなら少しは痛い目を見てもらうしかありませんが。
「他の街の使徒・・・人たちが奪還に来るって考えなかったの?」
「はんっ、誰が来てもうちが倒してやるさ」
「出来ると思ってるの?」
「うちは強い」
「・・・仕方ない、その鼻をへし折ってあげるから目を覚ますといいよ」
私は、右手の力を解放する事にしました。




