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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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197話目

 お互いに決定打が無いまま10分ほど経ちました。エリもマミコさんも、この戦闘には参加しないみたいですね。まあ、向こうの動物たちも大人しくしているので下手な事はしないほうがいいと思います。


「はぁっ、はぁっ、そろそろ降参したらどう?」

「え? 私は全然平気だけど、アイちゃんはもう疲れたの?」

「ちゃんづけすんな! うちだって疲れてない!」

「ふーん。息、上がってるように見えるけど?」

「お前の気のせいだ!」

「あっそう。じゃあ、スピード上げるからね」

「んだとっ?!」


 私は攻撃の手数を増やしました。今まではアイちゃんの動きを覚えるために、防御寄りで対応していましたが、アイちゃんが疲れてきたこともあって動きが読みやすくなったからです。


「はぁっ、はっ! うっ! くそっ!」

「今のは惜しかったかな? 次は当てるから」

「ちぃっ!!」


 私が顔面に当てたと思った瞬間、アイちゃんは大きく下がりました。捉えられはしませんでしたが、かすりはしましたね。


「ふう・・・ガキだと思って手加減してたけど、もう容赦しないわ」


 アイちゃんは、少し距離を取ったことで頭がちょっとだけ冷えたみたいですね。


「手加減、出来てたんですかー? 噛みつきに手加減ってあるんですねー」

「・・・うっさい。これを見ても、まだそんな余裕でいられるかしら?」


 アイちゃんは私の煽りに乗って来ませんでしたね。そして、立ち上がりました。少しだけ人の姿になりましたね。半獣人って感じですかね? そう思ってたら、なんかアイちゃんの両手が犬の顔になってきたんですけど。


「モード、ケルベロス!」

「・・・かわいい」

「なめるな! これで攻撃力は3倍になる!」


 ケルベロスは確か、3つの頭を持つ地獄の番犬って呼ばれてるやつですよね? けど、アイちゃんの場合は頭は3つになったけど、両手が無いのと一緒だから微妙な感じがするんですが。それにしても、両手の犬が可愛いです。


「えっと、右手と左手はなんていう犬種ですか?」

「え? 知らんけど、雑種じゃない?」

「雑種・・・。豆柴とか、チワワっぽく見えるんですけど」

「だから、うちだって知らないって! 犬には詳しくないのよ」

「・・・自分で変身したのに?」

「ランダムなんだよ!」


 アイちゃんは、苛立ったように走ってきました。4足から2足になったので、スピードは落ちていますね。けど、右手の噛みつきと左手の噛みつきで攻撃感覚は2倍になってるようです。頭は3つあるけど、本来の自分の頭は攻撃に参加しないようですね。


「ほらっ、両手貰い!」

「わざとですよ?」

「なっ! 痛いっ! 離せ!」


 私はアイちゃんの両手をわざと嚙みつかせ、逆に舌を掴みました。手の顔にも痛覚はあるようで、無理に離せないみたいですね。ただ、やけになって結局本人が噛みついてきましたね。まあ、それしかできないでしょうし、予想通りの行動ですね。


「ぎゃっ!!」


 私は、その顔におもいっきり頭突きしてあげました。

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