193話目
「それでは、メリットとデメリットを考えてみよう」
アオイさんがそう言ってノートパソコンにメモを書きました。アオイさん、なんとノートパソコンを使えるようにしたんですよ。と言っても、ユカリさんのソーラーパワーを使って電気を使えるようにしただけですけどね。ノートパソコン自体はその辺のビルに結構ありましたので。風雨にさらされてないので、結構無事なものが多いです。
「まずはメリットから。広島の食料が手に入る・・・くらいか?」
「そうですね。それに、別に私達は食料に困っていませんし」
「ユカリ君の野菜があれば、十分に生きていけるからな。私とカエデは食料も必要ないし」
「という事は、それ以外全部デメリットにしかならないのよね。取り戻そうとした時点で敵対確定、争う事がデメリット。負けるとは思わないけど、ハイリスクローリターンってやつね」
「うむ。食料にしても、人肉だろう? 食べたいのか?」
爬虫類の使徒達は牛なんかよりも育てやすい人を家畜にしています。それ自体はどこの街でもやっているので、今更非人道的だとかどうとかいう事はないですが、そもそも食事を取る必要があるのがミカコさん、ハルカさん、リナさん、そして一応アヤヒさんと男2人ですね。
「私は別に無くても構わん」
「私もどっちでもいいかな。ユカリさんの野菜はおいしいし、最近はそればっかりよね」
「うっぷ。俺はそんなもん食えんぞ!」
「・・・サバイバルで極限状態ならともかく、他に食べるものがあれば食べん」
「あたしも、ちょっと遠慮したいわね」
「という事は、別に広島を取り戻す必要は無いという事ですね」
「そうだな。じゃあ、解散するか」
私達は、広島の奪還をしないことにしました。まさか、それが後に脅威になるなんて思ってもいませんでした。
それから1週間ほど経ったとき、私に何か信号が来ました。
「カエデ!」
「エリも?」
「うん。これはマミコさんからの連絡だよね」
「きっと何かあったんだ。カエデ、行ってみよう!」
「分かった。アオイさんに聞いてみる」
私はマミコさんから信号が届いたことをアオイさんに伝えました。
「それで、信号というのはどういうものなんだ?」
「えっと、私がエリから救難信号を受けたのと似たようなものですが、マミコさんのはヴァリアントなので、虫の知らせみたいな感じですね。なにかざわざわした感じがします。良くないことがあったのは分かるんですが、それが何なのかまでは分かりません」
「私もカエデと同じような感じですね」
「では、行ってみるしかないか。せっかくの知り合いだ。行ってみると良い」
「はい。じゃあ、私とエリの2人で行ってきます。それなら、私が飛べばすぐに着くと思いますので」
「カエデ一人だと心配だが、エリならカエデの無茶も止められるだろう」
「では、行ってきます!」
私は外に出ると、翼を広げます。この一週間、ずっと飛ぶ練習をしていたので変身も飛行も大分慣れました。私の足にエリが蔓を巻き付け、ぶら下がっての移動です。




