190話目
「ところで、今の私ってこれを飲む・・・でいいんですよね?」
「ああ。体内に入れさえすれば、自動的にナノマシンが体中に行き渡るからな」
「・・・またこれを飲むんですね・・・」
私はアオイさんから渡された瓶を見つめます。相変わらずの銀色で、飲む意欲が湧かない色ですね。まあ、今の私なら何も感じることなく飲めるはずです、きっと。
覚悟を決めて瓶に口をつけます。ゆっくりと喉を流れ落ちる液体が気持ち悪いですが、味を感じないのが幸いですね。
「・・・・・・・・・特に何も感じませんが、これでいいんですかね?」
「2度飲んだのはカエデだけだから、私にも分からんが、取り込めたのなら鳥類に変身できるのではないか?」
「えっと、やってみます」
私は腕を変化させた時のように、腕が変化するように念じます。
「おぉ、腕が翼になりました!」
「ふむ。まるでハーピーの様だな・・・」
「ハーピーって何ですか?」
「腕が翼の空想上の生物だな」
アオイさんの言う通り、私は腕だけが翼で他は変わっていません。試しに腕を上下させて飛ぼうとしましたが、全く浮く感じはしませんね。
「きっと腕だけ変化させても体が重いのだろう。もっと翼を大きくするか、早く動かすか、体を軽くする必要があるな」
「なるほど。とりあえず、翼を大きくする方向でやってみます」
私は再び腕が変化するように念じます。すると、腕の長さしかなかった翼が、倍の2メートルくらいまで大きくなりました。
「出来ました!」
「よし、動かしてみるんだ」
「はい!」
私はバッサバッサと腕を振ります。少しずつ早くすると、体が浮き始めました。
「アオイさん! 私、飛べました!」
「すごいぞカエデ! どのくらい飛べそうだ?」
「とりあえず、疲れはしないのでしばらくは大丈夫そうです!」
「では、そのままこの辺りを飛んでみてくれ」
「分かりました!」
私は翼の角度を変え、横に飛びます。体が人間のままなせいか、バランスがとりにくいですね。けど、慣れればなんとかなりそうです。
それからしばらく練習しました。一応、早く動かす方もやりましたが、思ったよりも風切り音がうるさいですね。飛べはしましたが、なんかこれじゃない感があります。そして、体を軽くするのは無理ですね。
そして、完全に鳥に変化するのも無理ですね。何かが足りない感じがします。




