187話目
「なるほど。私の出せる限界の速度にも簡単についてくるとは、その目は優れているな」
「簡単ではないですけどね。確かに見えますが、体がそれについてこれないので、ぎりぎりですよ」
「であれば、体をその動体視力に慣らす必要があるな。ならば、模擬戦を続けよう」
ハルカさんはうれしそうに模擬戦を続けるように提案します。九州に行く前の私では、本気のハルカさんの動きについていけず、ボコボコにされてましたからね。といっても、ダメージはありませんでしたが。ただ、私の反撃は当たりませんし、ハルカさんの攻撃は回避しづらかったですね。
「よっ、はっ、ほっ」
「これなら、むっ、こうか? やるな」
ハルカさんとの組手はペースアップし、ハルカさんがなんとか私に攻撃を当てようとムキになってきてますね・・・。
私はだんだんと体の動きが動体視力に慣れてきました。なんか目で見た瞬間に体が動く感じで、自分でも気持ち悪い動きになってる気がするんですが。
「お~い、カエデ~。ってなんだ、まだ戦っているのか?」
「あっ、アオイさん。はい、ハルカさんのテンションがあがっちゃいまして」
「むっ、もうこんなに時間が経っていたのか」
ハルカさんが時計を見て驚いています。時間はすでに夜になっていて、ユカリさんももうきっと寝ていますね。
「明日に備えて私も休むとしよう。では、またな」
「はい。おやすみなさい」
ハルカさんは少しあくびをころしながら部屋を出ていきました。あれはきっとお風呂でご飯を食べる気ですね。いくら時短とはいえ、行儀が悪いですが、注意しても直さないのでもう誰も注意しなくなりましたが。
「それでアオイさん、どうしたんですか?」
「ああ、機械がやっと完成したのだ。だから、カエデの体液を少し貰おうと思ってな」
「体液ですか・・・」
私は今、汗もかかなくなり、トイレも行かなくなりました。なので、私から採れる体液は唾液か血液くらいですね。ちなみに、注射針は私の皮膚を貫通する事が出来ないので、ほぼ唾液一択ですね。
私はアオイさんが持ってきた容器に唾液を垂らします。大匙一杯分くらいでいいのかな?
「このくらいでいいですか?」
「十分だ。ありがとう」
「いえ、このくらいならいつでも協力しますよ」
「じゃあ、何かあればまた頼むよ」
アオイさんはそう言うと、うれしそうに私の唾液が入った容器を持っていきます。アオイさんが女性でよかったです。もし、体液を求めてきたのがあの研究者の様な男
だったら、私はきっと渡しはしなかった気がします。




