186話目
ハルカさんは、攻撃のスピードを上げ・・・上げましたか? むしろ、さっきより遅くなっている気がします。
「ハルカさん? どうしたんですか?」
「・・・? どう、とは?」
「なんで急に手加減しはじめたんですか?」
「何のことだ? このスピードに慣れてきたなら、さらにスピードを上げるぞ」
ハルカさんはそう言うと、トンファーと銃を振り回し始めました。高速で・・・高速で? さっきよりもさらに遅くなっていませんか?
「あの、もっと早くてもいいですよ?」
「ほぅ。いうようになったな。では、本気で行くぞ」
ハルカさんがそう言うと、スピードはそれほど変わりませんが、攻撃連携の隙が減り、攻撃の回転が速くなりました。
私はその攻撃を、拳を合わせるように受けます。それはまるで型の様に、流れるように動きます。
「やるな。旅に出てカエデが強くなったのか、私が少し鈍ったのか」
「どうでしょう。私が早くなったんですかね?」
ハルカさんの動きは遅くなっていますが、私の動きも同様に遅くなってる気がします。というか、目だけがハルカさんの動きを捉えている感じ?
「ん? カエデ、目が変じゃないか?」
「変ですか? 自分じゃ見えませんし、特に変わってないと思いますが」
「ちょっと待て。目をよく見せてくれ」
「分かりました」
私は攻撃をやめ、ハルカさんと目を合わせます。ハルカさんは、私の目を見ると、目を見開きました。
「これは・・・複眼か? カエデの目がトンボの様になっている」
「え。本当ですか?」
私は慌てて鏡のある場所に向かいます。見ると、本当に私の両目が複眼になっています。
「も、戻れ、戻れー」
私は気味の悪い目が元に戻るように祈ります。すると、目が普通に戻りました。
「ほっ・・・。よかった、元に戻って」
私はハルカさんの所へ戻ります。
「元に戻りました」
「そうか。自覚なく変化していたのか? まあいい、続けよう」
「はい」
再び私はハルカさんとの模擬戦を開始しました。あれ? ハルカさんの動きがさっきよりも早くなってますね。
「ハルカさん、攻撃のスピードをさらに上げましたか?」
「いや、さっきと変わらないが? もしかして、さっきの目が変化してた事と関係あるのか?」
「そうかもしれませんね。むむむっ」
私は今度は眼を凝らしてみます。すると、またハルカさんの動きが遅くなりました。
「カエデ、また複眼になってるぞ」
「あ、やっぱりそうですか。この目になると、ハルカさんの動きが遅く見えます」
「なるほど。動体視力が上がる能力か。面白い、どこまで見えるのか試してみよう」
それからどんどんとハルカさんが攻撃のスピードを上げていきます。けれど、ハルカさんが本気をだしても、私にとっては早いとは感じませんでした。




