183話目
本州へ戻ってきてしばらくして異変を感じました。
「なんか、ヴァリアントが多くないですか?」
「確かに。来る時は植物のヴァリアントくらいだったのに、今じゃ動物のヴァリアントも居るわね。ちょっと、おっさん。あんたまたなんかした?」
「お前らがずっと見張ってただろ! 俺は何もしてない! というか、来たことも無い場所で何かできる訳ないだろ!」
「それもそうね。じゃあ、なんでだろ?」
リナさんは少し考え込んだようですが、考えたところでいい考えが浮かばなかったのか、すぐに顔をあげました。
「分かんないけど、とりあえず徳島を目指しましょう」
「でも、放置していい問題じゃないね。今のところ、犬、猿のヴァリアントは大して強くなかったからいいけど、もっと大きな動物がヴァリアントになってたら・・・」
「そうですね。私も前にワニのヴァリアントに苦戦しましたし」
「苦戦したっけ・・・? まあ、確かにあのくらい大きなヴァリアントが出たら普通の人は勝てませんね」
これがフラグになったのかは分かりませんが、岡山県の近くに来た時、大きな動物の咆哮が響き渡りました。
「な、なんだ!? 俺を、俺を守れ!」
「あんたを優先的に守る理由なんてないから。でも、この咆哮はなんだろうね?」
「ん・・・いろんな臭いがあっちから来るよ。気を付けて」
アヤヒさんが山の方へ視線を向けると、そこからさまざまな動物が飛び出してきました。ほとんどが普通の動物ですが、何匹かヴァリアントも混じっています。ヴァリアントですら逃げてくるって事は、一体何が向こうに居るんでしょう?
リナさんはナイフを構え、エリも蔓をゆらゆらと待機させています。リナさんはなんだかんだいって研究者の男を守る位置に居ますね。じゃあ、私は元自衛隊の男の方を守るとしますか。
動物が散って行ったあと、大きな物体が木の奥から飛び出してきました。
「熊みたいね。ただ、明らかに見た目がおかしいけど」
顔は熊ですが、腕が4本になってますね。それどころか、表皮がところどころ金属のようなもので覆われています。何より、大きさが5メートルを超えてそうですね。
「ば、化け物だ! 俺は逃げるからこの蔓を外せ!」
「外すわけ無いでしょ。退治するまで待ってなさいよ」
「倒せるわけないだろ! 殺されちまう!」
研究者の男は、熊の見た目にビビり、うずくまってしまいました。正直、見た目のおかしさはともかく、大きさは琵琶湖のワニよりも全然小さいのでそれほど恐ろしいとは感じませんが。
「とりあえず、どんなもんかあたしが最初に戦ってみるよ」
「分かりました。お願いします」
まずは一番速度が速いアヤヒさんが4足で熊へ飛ぶように近づいていきます。熊は足を止め、私達を睨みつけているように見えます。
「・・・もしかして、あの熊って私達が九州に向かう時に蹴散らしたやつですかね?」
「うーん、熊なんて見分けつかないけど、何か怒ってるようには見えるわね」
「あっ、アヤヒさんが攻撃始めましたよ」
アヤヒさんは素早くジャンプすると、熊の肩へ蹴りを入れました。けれど、そこは金属で覆われていた部分なのでダメージはなさそうですね。続いて金属で覆われていない部分にも攻撃を入れ、熊の反撃をかわします。しばらく戦った後、私達の方へ走ってきました。
「あいつ、超かったいわ。金属の部分は当然だけど、それ以外の部分もサンドバックみたいね」
「あの、私はサンドバックを見たことも触ったことも無いので分からないんですが・・・」
「ああ、そっか。私は昔、ダイエットのためにジムに行ってたからねー、っていまはどうでもいいか。じゃあ、土嚢なら分かる?」
「それなら小学校で触った記憶があります。まあ、とりあえず硬そうってことは分かったので、次は私が行ってみますね」
「いってらー」
次は私の番ですね。




