182話目
私達は予定外の出来事があったため、さらに慎重に移動することにしました。
「ちっ、トイレまでついてくるんじゃねぇよ!」
「誰が好き好んで付いてくるか! あんたが他に何かしないか見張ってんだよ!」
前例があるため、研究者の男のトイレには必ずリナさんかアヤヒさんがついていくことになりました。2人とも見たくないだろうけど、仕方なく。そんなのを私に見せないように見張り順からは私は外されています。
「なあ、俺達はどうなるんだ?」
研究者の男がいなくなったときに、元自衛隊の男が話しかけてきました。
「さあ? その判断はアオイさんがしてくれますよ」
「そのアオイさんってどんな奴だ?」
「ストップ。そんな事知ってどうするの? 何か情報を引き出すつもり?」
「ああいや、そういうつもりはない。単純に、俺がどういう扱いを受けるのか心配なんだ」
「だからそれはアオイさんの判断次第ですって」
自衛隊の男は、私やリナさんから情報を引き出したいというよりも、自分の身が心配みたい。自分の罪が少しでも重くならないようにするためか、ここまでずっと大人しく、態度はいい。最初に会った時の態度の悪さは嘘のようですね。
「エリ。こいつってどんな奴なの?」
「私もよく知らないですね。ほとんど警備のために一緒に居ませんでしたし」
「そうなんだ。まあ、別に殺したりはしないと思うよ? 多分」
「多分・・・なのか・・・」
正直、アオイさんがこの人たちをどうするかの検討はつきませんが、アオイさんなら研究内容を知りたがる気がします。そのために今も研究施設を直しているんですし。ただそれは研究者の男に限ってですね。元自衛隊の男についてはどういう扱いになるか全く分かりませんね。
「ただいまー。今度はそっちの男を連れて行ってあげなー」
「じゃあ、私がついていくわ」
アヤヒさんが戻ってきたので、次は自衛隊の男をトイレに連れていく事になります。その監視にはリナさんが付いていきます。
「おい、ガキ。いい加減に俺を逃がせ」
「逃がすわけ無いですが。何ですか? 子供だったら自分のいう事をきくとでも思ったんですか?」
「カエデ、もう返事もしなくていいよ。こいつのいう事は全部無視していいから」
「分かりました」
「貴様! 俺は天才なんだ! 俺のいう事をきいておけばいいんだよ!」
「あー、うっさい。黙らないと指の一本くらい噛み千切るよ?」
アヤヒさんがしびれを切らせて顔をオオカミに変身させました。それを見て、さすがに研究者の男も黙りました。アヤヒさんはやるといったらきっと本当にやるでしょうからね。
「じゃあ、私は足を貫いちゃおうかなー」
「貴様! ・・・くっ!」
エリも調子に乗って研究者の男をあおりますね。それに対して声を荒げようとしたみたいですけど、アヤヒさんを見て再び黙りましたね。




