178話目
「こいつら、どうしよう?」
アヤヒさんが気絶した研究者の男を指さした。どうしようと言われても、今では警察もないし、一般人を殺すのもちょっと・・・。とりあえず、元自衛隊自衛隊の人も連れてくる。
「・・・リナさん、食べますか?」
「さすがに生では食べないわよ!」
自衛隊の男がぎょっとした表情をする。実際、今の世界での肉は人肉が一般的だ。人間は、家畜よりも育てやすい食料となっている。しかし、食べるにしてもそれはきちんと加工しての話だ。そのまま人間をパクリと食べるわけじゃない。使徒化したなら病気とかは関係ないけど、見た目を気にする人が多いからだ。加工してあればコウロギ入りのクッキーが食べられるのと一緒だろう。私はきっと普通に食べれるだろうけど。
「それなら、アオイさんの所へ連れて行ってみますか。思ったよりも研究とやらの情報が役に立つかもしれませんし」
「まあ、それでいいか。ちょっと移動速度は落ちるだろうけど、判断に困るからね」
「ついでだから、この機械で使ってる部品も貰っちゃおう」
リナさんはせっかくだからと機械の中から部品を頂戴していますね。アヤヒさんは男たちを両脇に抱えて出口へと向かいました。私はリナさんが取った部品を運ぶ役目でしょうか。
「私はどうすればいいのかな・・・?」
「エリはどうしたいの?」
「・・・今は、何の目的も無いよ。親はきっともう死んでるだろうし、家に戻っても何も無いだろうし。幸い、ご飯は食べなくても死なないけど、生きる理由も無いんだよね・・・」
「じゃあ、探そうよ。これから楽しいことを一緒に探そ?」
「カエデは、一緒に居てくれるの?」
「もちろん。それに、まだ他に何人も仲間は居るし、知り合った人もいっぱいいるよ。そうだ、せっかくだから一番近い太宰府天満宮にも寄って行こうよ。そこにも植物を操るマミコさんっていう巫女さんも居るんだよ」
「分かった。私もいろいろ見て、知って、判断していこうと思うよ」
私は少しでもエリが生きる気力を取り戻してくれればいいと思い、私が知っている限りの話を道中にしてあげる事にした。
しばらくして、持っていけそうな部品を取りつくしたリナさんのリュックを背負い、出口へと向かう。
「うーん、もう何回かここへ来たいわね。機械を使っていただけあって、部品はきちんと手入れされてるわ。放置されて錆びたり腐食したりしてないから、全部持っていきたいくらい」
「さすがに今は全部持ち出すのは無理ですからね。せめてアオイさんに必要な部品を聞けたらいいんですけど」
「私は一応、必要そうな部品はあらかた教えて貰ったけど、正直どれがその部品なのか分かんないのも多いのよね」
「アオイさんにみてもらうのが一番ですね。ここならそんなに時間がかからずにこれますし」
「と言っても、それはカエデ達の移動速度で不眠不休で走ったらの話だからね? 普通はここまで来るのに何日もかかるのよ」
「そろそろ出発するよー」
「はい。帰りに太宰府天満宮に寄っていいですか?」
「そうだね、そういう約束もしてたし、寄って帰ろうか」
私達は、もう一度太宰府天満宮を目指すことにしました。




