169話目
真っ暗な道路を3人で走ります。今日は晴天なので、月明かりだけでも結構見えます。ところで今気づいたんですが、私ってもしかして紫外線とか見えてないですかね? アオイさんもアヤヒさんも普通に暗い道を平気で動いてたから、そんなもんだと思ってましたが、リナさんはずいぶんと動きにくそうです。
「リナさん、もしかして暗いとよく見えませんか?」
「え? そんな当たり前のことを今更聞くの?」
「いえ、私は普通に見えますので・・・」
「あたしも普通に見えるわよ?」
「・・・私と動きが全然違うと思ってたけど、視界が違ってたのね・・・」
というわけで、私は荷物をアヤヒさんに渡し、夜が見えづらいリナさんをおんぶします。夜なら誰にも見られないだろうし、完全に足手まといになるとリナさんも分かってるようで文句を言わないみたいです。
体感で大体時速30キロ~40キロくらいでしょうか。マラソン選手並みの速度で走っているので、恐らく朝までには長崎に着けると思います。
「本当にカエデって体力おばけよね」
「無理しなければ回復するのが早いってだけですよ」
「それ、ずるいわよね」
「ずるいと言われましても・・・」
「あたしも似たようなものだから、ずるいとは思わないわね。でも、見た目はやっぱり人間のままが良かったんだけどなぁ」
アヤヒさんは変身すると体毛が生えるので、見た目はオオカミ人間みたいな感じになります。完全に動物の様にもなれるみたいですが、その姿は恥ずかしく感じる様で、ほとんどなりませんね。今も4足歩行はしてますが、半獣人みたいな見た目です。
「アヤヒだって複数変身できるなんてずるいわよ。私なんてカメレオン一択なのに」
「使徒化した人たちは全員一種類だけなんですよね?」
「私が知ってる限りじゃそうね。まあ、段階的に変身できるから人によっては数種類に見えたりするけど。多分、その人にあったDNAが一種類って事だろうし」
「その辺、あたしたちはオリジナルって事で特別なんでしょうね。でも、変身しない時のあたしはニホンザルに固定よ? 知らない人が見たら、絶対に酔っ払ってるって思われるくらい顔が赤いのよ?」
「私は縮んだだけで良かったわ。けど、ずっとこのまま小さいままなのかしら? 数年経ってるけど、全く成長する感じがしないんだけど」
「そのあたりはアオイさんに聞かないと分かりませんよね。今の機械が完成したらどうにかなるんじゃないですか?」
「でも、能力自体は消したくないのよねー。あー、悩むわー」
リナさんは私に背負われたまま頭をかかえていやいやしてます。アオイさんが言う通りなら、リナさんが結婚できるのは同じカメレオンの力を持った男性だけという事になるので、ほぼ可能性は0ですね。男性は使徒化できる可能性が低い上に、こういってはなんですが、リナさんはメンクイと呼ばれる方ですし・・・。
「ところで、もうすぐ長崎に着くみたいですよ」
道路にまだ残っていた経路案内の看板には、長崎まで20キロとあります。あと1時間しないうちに到着しますね。
「あっ、じゃあちょっと先にトイレ行ってきていい?」
「あたしも行っておこうかな」
「分かりました。私は待っていますね」
「トイレも必要ないってやっぱりカエデはずるいわよ」
「あはは・・・それはもう分かりましたって」
リナさんが文句を言いながらも近くの民家へと走っていきました。




