168話目
マミコさんと別れ、私は再び信号の来る方角を確かめ向かいます。薄暗くなった荒れた道路を歩いていきます。
「本当に、こんな暗い中歩いてくの?」
「さすがに長居する必要も無いでしょ。怖いの?」
「こ、怖くないわよ。ただ、食事くらいゆっくり食べない?」
「まあ、それくらいならいいかな。せっかくおにぎりも貰ったし、食べましょうか」
「私も食べていいですか? ご飯を見てたら食べたくなりました」
「いいわよ。というか、ちゃんと一人1個の計算で作ってくれたみたいだから。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
アヤヒさんが受け取った小さなお弁当箱のふたを開けて差し出してくれました。私はその中から一つ取り出します。続いてリナさんとアヤヒさんも。
「「「いただきます」」」
私達は一口、おにぎりを口に含みます。
「うん、ほんのりと塩味がきかせてあっておいしいわ」
「あたしはもう少ししょっぱくてもいいけどね」
中は具なしですが、ほんのりと塩味がきかせてあるようです。恐らく、塩は貴重だと思うので奮発して作ってくれたのでしょう。
「・・・おいしいです」
私は食感くらいしか分かりませんが、手作りのおにぎりというだけでおいしく感じます。お母さんが作ってくれた、おにぎりを持って遠足に行ったなぁ・・・。
「カエデ、どうしたの?」
「え?」
リナさんが驚いた顔をしますが、別に私はどうもしてません。
「えっと、何かありましたか?」
「なんか、泣いてる様な気がして・・・気のせいだったかしら」
「そうです、ね」
泣いてはいませんが、過去の事を思い出してしんみりとはしています。うん、リナさんやアヤヒさんが傍に居てくれるし、ユカリさんやアオイさんも居ます。私は今、さびしくはありません。
「ありがとうございます」
「え、何のお礼?」
「私の傍に居てくれて」
「?」
リナさんは意味が分からないようで、こ首をかしげていますが、それでもいいです。
「ごちそうさまでした。さあ、早く目的地に向かいましょう」
「もう?! もうちょっと休みましょうよ。ほら、食べてすぐ運動すると体に悪いって言うし」
「私は大丈夫ですよ」
「それはカエデだけでしょ?!」
アヤヒさんも少し休む方を希望しているのか、苦笑していたので、私は腰を下ろしました。
「仕方ないですね。もう少しだけ待っていますよ」
「もう少しと言わず、朝まで待っててもいいのよ?」
「そこまでは待ちませんよ。その時は、リナさんを置いていきます」
「分かったわよ。じゃあ、10分くらいね」
「はい」
私はもう10分、ゆっくりと感傷にひたることにします。




