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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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164話目

「アヤヒさん!」

「ええ、あたしたちも向かいましょう」


 私達はマミコさんを追います。マミコさんの走る速度は、リナさんよりもさらに遅いようで簡単に追いつくことができそうです。むしろ、追い抜けそうですが向かう場所が間違っていたら困るので少しだけ後ろをついていく感じですね。

 その間にも複数の人の声が聞こえるので、そっちの方へ向かえばよさそうですね・・・。


「アヤヒさん、どうしますか? 私達が先に向かってもいいものでしょうか」

「ここではあたしらは部外者だから、あんまり出しゃばらない方向で行こうか」

「分かりました。リナさんもそれでいいですか?」

「私はこれ以上の速度出ないから・・・」


 とりあえずマミコさんの速度に合わせて様子を見る事になりました。しばらくすると、問題の場所に着いたようです。そこには、複数の人が武器を持って戦っています。どうやら使徒化した人は居ないようで、それほどはげしい戦いには見えませんが、危険な事には変わりはなさそうです。


「マミコさん!」

「はぁ、はぁ、今、助けるわ!」


 マミコさんは息を切らせながらも現場に着くと、右の手のひらから蔓を伸ばします。


「くそっ、化け物がきやがった!」

「大丈夫だ。今回はちゃんと対策を持ってきたからな」


 男の一人がそう言うと、おもちゃの水鉄砲の様なものを持ち出しました。


「まさか、簡易的な火炎放射器?」

「え。あれって火炎放射器なんですか?」

「水の代わりに中にガソリンを入れて、ライターで着火するって何かで読んだ気がするわ」


 リナさんの何かの知識で、あのおもちゃの水鉄砲が火炎放射器かもしれないと分かりました。だとしたら、いくらマミコさんと言えども危険ですね。おそらく、ナノマシンの再生力は持っていなさそうなので、そんなことされたら焼け死ぬでしょう。


「くらえ!」

「マミコさん、危ない!」

「え? きゃぁっ!?」


 マミコさんは、一人の男を蔓で拘束する事に成功していましたが、その隙に水鉄砲の中身を浴びせられました。リナさんの予想通りなら、このあと火をつけられて火だるまになってしまいます。


「ん? ガソリンの臭いはしないわね」


 鼻のいいアヤヒさんが、クンクンと鼻をひくつかせますが、ガソリンの臭いはしないようです。リナさんの予想が外れたようですね。


「じゃあ、中身はガソリンじゃないみたいですね」

「少し変な臭いはするけど、何か分からないわね」


 特にマミコさんに変化はなさそうですが、男は勝ち誇ったような表情をしています。


「うっ・・・ああっ!!」


 マミコさんが苦しむような声と共に、蔓が縮んでいきます。


「一体何が・・・」

「とりあえず、あの水鉄砲に気をつけながら戦いましょう」


 リナさんはそう言うと、ワンピースを脱いで透明化します。いえ、透明化してから脱いでますね。さすがに裸を先に見せるのは恥ずかしいという事でしょうね。


「な、なんだこいつら!」

「化け物が増えただと!」

「とにかく、倒せ!」


 男たちは、私達に驚いたようですがすぐに武器を構えました。ただ、水鉄砲を投げ捨てたので、あれはマミコさん専用の武器だったって事でしょうか? 中身が何か分からないけど、それを使われないというのなら不安要素が減りましたね。

 

「がうぅっ!」

「オオカミ人間だと?!」


 アヤヒさんは半分くらいオオカミに変身すると、男の一人を翻弄しながら戦い始めました。鉄パイプをアヤヒさんに叩きつけようとした男が、アヤヒさんに回避されて隙が出来たところをアヤヒさんが押さえつけられます。一人を無効かする事に成功したようです。


「え? 何が? 何が起きたんだ!」


 ナイフを持った男が、透明化して近づいたリナさんに武器を奪われて困惑しています。そして、男はそのままリナさんに殴りつけられたようで、気絶しました。いくらリナさんが力が弱い方だとは言え、さすがに一般人に比べれば怪力です。


「くそがっ、死にやがれ!」


 それを見た3人目の男が、私に金属バットを振りかぶってきます。私の脳天に向かて正確に振り下ろすあたり、殺意マシマシですね。


「けど、効きません」

「ば、馬鹿な!」


 私の頭に振り下ろされた金属バットは、ガインという音がして少し曲がりましたが、私は痛くもありません。頭の上のバットを、私は右手で掴んで握り潰します。


「ひっ、命、命だけは助けて・・・」


 それを見た男は腰を抜かし、地面に座り込みました。そのお尻のあたりの地面の色が灰色に変わっていきます。どうやら失禁したみたいですね・・・。大の大人が、私みたいな少女相手に漏らすなんて失礼ですね!


「別に殺しはしませんよ。それより、マミコさんに何をかけたか教えてください」

「あ、ああ・・・。あれは、除草剤だ・・・」

「除草剤・・・? 本当に、それだけですか?」

「そうだ・・・。あの女は手から植物を出すことは分かっていたから、それを枯らすために除草剤を用意したんだ」


 マミコさんにかけられたのは、やはりガソリンではなかったようですね。ただ、除草剤にしては随分と即効性がありますね・・・?

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