163話目
「マミコさんのその力の事は、みなさんご存じなんですか?」
「私の力は、ほとんどの人が知らないですよ。実際に見たことがあるのは、最初の頃に問題を起こして、私に取り押さえられた人くらいでしょうか。そこから、私の力を見た人が私に従うようになったため、なし崩し的に私がリーダーの様になってしまいましたが・・・」
マミコさんはそれが不本意なのか、困ったような表情をみせました。しかし、力がある人を頼る気持ちは分かる気がします。
私は少し集中して私を呼ぶ声に耳を傾けます。しかし、どうやらこの声はマミコさんから聞こえるものではないようです。そして、方角的にはもう少し長崎側の様に感じます。
「リナさん、違います。ここじゃありません」
「そっか。じゃあ、ここにもう用は無いかもね」
私は小声でリナさんに報告しました。必要なら、リナさんが透明になって探る予定でしたが、場所自体が違うのならその必要もありません。
私達は、そういう情報収集をしながら歩き、本殿へと着きましたが、もうすでに要件は終わってしまいました。
「みんなを驚かせないように、廊下の方から中を見てもらえるかしら」
「はい」
マミコさんと話していたアヤヒさんにはまだ伝えてないので、それとなく時間を稼いでくれているようですが、アヤヒさんが私の方を見たタイミングで首を左右に振って伝えます。
建物内には、少し疲れたような表情をした人たちがいましたが、今の私達にはどうする事もできません。
「居ないみたいです」
「そうですか。せっかく来ていただいたのに、残念でしたね」
「いえ、居ないことが分かっただけでもよかったです」
私達はマミコさんにそう伝えると、早々にここを離れる事にしました。用が無いならここに留まる理由もありませんし。
「それでは、お世話になり―――」
「しゅ、襲撃だ!」
私達がマミコさんに別れの挨拶をしようとした時、さっきのおじさんの方角からそう叫ぶ声が聞こえました。距離があるので、叫び声はとても小さなものでした。
「襲撃だって?」
「!! 私、見に行きます。失礼します」
アヤヒさんにも聞こえたようで、ぽつりとそうつぶやいた瞬間、マミコさんが血相を変えて叫び声が聞こえた方に向かいます。聞こえた方角も何も伝えてないのに分かったって事は、これが初めての事ではないのかもしれません。




