162話目
「では、本殿の方へご案内します。そこへ付近の寝具等を集めて皆で暮らしていますので」
「お願いします」
「ワシらもついていきますかい?」
「いえ、私一人で大丈夫です。引き続き、見張りをお願いします」
「分かりました」
どうやら、マミコさんだけで私達を案内してくれるみたい。私が言うのも変だけど、不用心過ぎない?
「くすっ、私だけで案内するのが不思議ですか?」
「はい。別にあたしたちの事を信用したってわけじゃないよね?」
「そうですね。もし、あなた方が急に暴れたりしたら困りますね。けれど、私には不思議な力がありますので」
マミコさんはそう言うと、手をすっと持ち上げました。そして、下に向けた手のひらから何か長いものが垂れてきます。
「触手・・・?」
「ち、違います! 蔓ですよ、蔓。変な勘違いしないでください」
マミコさんが慌ててそう訂正した。よく見ると、植物のヴァリアントの様な蔓でした。
「・・・驚かないんですね?」
「あたしたちは見慣れてるし」
「そうですか。もしかして、あなた方も同じような力をお持ちですか?」
「まあ、そうだね」
アヤヒさんがそう言うと、マミコさんは少し警戒したように眉をひそめました。
「・・・本当に、敵じゃないんですよね?」
「ええ、敵じゃないわ」
リナさんが答えました。私達は別にここを破壊しに来たわけじゃないので、敵ではありません。けれど、どうしてマミコさんが使徒化しているのか気になります。
「能登さんはユカリさんの親戚ですか?」
「えっと、ユカリさんと言う方は存じ上げません。一応、苗字を伺っても?」
「田村。田村ユカリさんです」
「うーん。私の記憶にその様なお名前の方は居ませんね」
だとしたら、親戚じゃないのに使徒化したってことだろうか。ここにアオイさんが居れば何かしら分かったかもしれませんが、私じゃまったく分かりませんね。
「いつからその力を?」
「種を拾いまして。その種を拾った瞬間、私の左手に潜り込んできました。一種の寄生と言えばいいんでしょうか。今はこれ以上私を侵食する事もありませんし、ある程度こうして私の意志で動かすことが出来ます」
マミコさんはそう言うと、出した蔓をうねうねと動かします。確かに、意思があるかのような動きですね。
「じゃあ、お返しにあたしの力を見せるよ」
アヤヒさんはそう言うと、メキメキと体を変化させていきます。口が少し突出し、足が曲がり、体毛が生えて四つん這いになりました。
「まあ、かわいいワンちゃんですね!」
「オオカミ! これ、オオカミだから!」
「そうでしたか。では、かわいいオオカミさんですね」
普通の感覚からしたら、結構な異形に見えると思いますけど、マミコさんは普通に受け入れていますね・・・。
「こういう力が無いと、旅なんて出来ないからね」
「そうですね。私も、この力のお陰で大抵の暴力沙汰は解決できますし」
マミコさんのしょく・・・蔓は思ったより力があるみたいですね。もしかして、私を呼んだのはこの寄生した蔓でしょうか?




