156話目
「ちなみに、一番南にある都市ってどこですか?」
「広島よ。けど、今回は寄らないわ」
「どうしてですか? リナさん、大体通り道の街は寄っていましたよね?」
「・・・あいつ、カープファンなのよ」
「・・・え?」
「だから、あいつは熱狂的なカープファンなの。カープ以外を許さないの。分かるでしょ!?」
「いえ、分かりませんけど・・・」
私はリナさんがなにに怒っているのか分からない。一応、カープや巨人が野球の事を言っているのは分かるけど、今の日本じゃ野球みたいなスポーツはすでに行われていない事が分かっている。
そこで、アヤヒさんが小声で私に耳打ちしてきた。
「野球のファンはね、自分の応援している団体以外を支持するファンを嫌うのよ」
「でも、今は野球はやってないですよね?」
「ええ。けど、リナちゃんの言い方的に、今でもファンはやめてないんでしょうね。そしておそらく、リナちゃんは過去にその事でもめてるわね」
「だから寄りたくないってことですか?」
「そうだと思うわ」
「アヤヒさんはそれでもいいんですか?」
「まあ、あたしは別に構わないけど」
アヤヒさんも何もしなければ食事の必要は無い。ただ、食事によるエネルギーの吸収効率がいいので、食べ物を食べた方がいいって感じらしい。
私はアヤヒさんとのひそひそ話をやめて再びリナさんに尋ねる。
「それじゃあ、直接九州に渡るんですか?」
「そうなるわね。それに、ロープがあるから私の負担も少なくなって長距離も走れるようになったし」
今回の旅ではリナさんと私はロープで繋いでいた。私がリナさんをひっぱることによってリナさんの体力を減らないようにする処置だ。私は最初、リナさんをおんぶするって言ったんですけど、そんな格好の悪いことはしたくないって言うし。ロープでひっぱられるのも大して変わらないし、そもそも見ているのがアヤヒさんくらいしかいないのに、何を気にしているんでしょうね。
どうしてもいやなら、透明化すればいいのにと思ったけど、透明化もエネルギーを使うみたいだからずっとは無理なのかな。
「それじゃあ、道に沿って走っていけば迷う事は無いわ」
「分かりました。じゃあ、行きましょうか」
ちなみに、アヤヒさんが本気で走ったら私よりも早い。けれど、その分パワーは私よりも弱いので、引っ張る役が私になっている。驚いたのは、アヤヒさんが本気で走る時は四足になる事だ。アヤヒさんも体を少し変化させて野生動物の様に走ることが出来るのだ。ただ、今回は私と一緒に走るので普通に2足歩行だ。その場合の速度は、私とそんなに変わらない。




