155話目
「そういえば、リナさんは九州へ行ったことってあるんですか?」
「無いわよ? 九州に用事なんて無いもの」
「九州には親戚は居ないってことですか?」
「そうよ。真の使徒様達は全員本州にしか居ないの」
「だから四国には誰も居なかったのね。あたしにとっては都合が良かったけど、理由はあるの?」
「あるわよ。今の世の中じゃ橋や道路を直せないのよ。知識はあっても重機も無ければ資材も無い。そんな状態だから、橋がいつ使えなくなるか分からないのよ。同様に、船も燃料を使うものは使えないわ。数年前まではそこら中から備蓄してある燃料を集めて使えてたんだけど、もう新しい燃料は手に入らないもの」
なるほど。外国から燃料が入ってこなければ、日本ではほぼ手に入らない事になる。新潟とかで何か燃料を作っていたような気がするけど、そういう技術や工場も失われてしまったみたい。
「でも、大阪みたいに技術が発展しているところもあるから、これからは分からないけど、当時はそういうのをあてにしなくて現実的に本州から出ない事にしてたのよ」
「じゃあ、都市はどういうところに作ってるんですか?」
「ん-、カエデに分かるかどうか・・・。桃太郎電鉄で目的地になるような場所よ」
「桃太郎電鉄って何ですか?」
「あ! あたしは分かるわよ。簡単に言うと、サイコロで出た目だけ移動して、目的地を目指したり、物件を買って一番のお金持ちを目指すゲームよ」
私はゲーム機なんて持ってなかったし、そういうものに興味は無かったから全然知らなかった。アヤヒさんが知ってるって事は結構有名なのかな?
「それで、目的地になるような場所ってどこですか?」
「人口の多い都市ね」
それ、最初からそう言ってくれれば私にもわかったのに。口には出さないけど、少しだけむっとした表情でリナさんを見る。
「ごめんごめん。知ってれば、分かりやすいかと思って」
「まあ、いいですけど。それじゃあ、橋や船で行く場所には都市が無いってことですよね?」
「そうね。北海道、四国、九州、沖縄。あとは、細かい島なんかにも誰も居ないと思うわよ。そもそも、インフラが整備されてるところにしか人口は集まらないし」
「じゃあ、その辺はどうなっているのか、リナさんも知らないってことですか?」
「知らないわ。だから見てみたいっていうのもあるし。それに、誰も居ない場所からカエデに救援信号みたいなものを発信するって、面白そうじゃない」
「面白さでついてきたんですか・・・」
リナさんはそんなに強くないのに、好奇心だけはすごく強い気がします。まあ、本人は透明化できるから、ほとんどの敵からは逃げられそうですけど。ただ、アヤヒさんみたいに嗅覚が優れていると簡単に居場所がバレる様で、戦闘になったらリナさんが一番弱い事になる。




