152話目
「このビルよ。ほら、入り口付近に蔓みたいなのが大量に見えるでしょ? 透明化で中を見て来たんだけど、中には程度のいい機械がいくつかあって、そこの部品が取れそうなのよ」
リナさんはすでに中を確認してきたみたい。ただ、リナさん本人は透明になるけど、持ち出した部品は透明にならない。なので、持ち出せなかったようだった。
「じゃあ、私がひっこぬいて倒せばいいんですよね?」
「うん、お願いするね」
「はい、分かりました」
私が近づいても、蔓は私を攻撃してこなかった。そういえば、植物のヴァリアントは私を攻撃してこないんだったっけ。
私は植物のヴァリアントの根元を掴むと、引き抜く。そこには本体である核の様な宝石があった。巨大なヴァリアントの時と同様に、この宝石はナノマシンが集まって出来たもののようだ。
私がその宝石を右手で握りつぶすと、ビルの周りに絡んでいた蔓が全部枯れて行った。残念ながら、私の修行の成果を見せる場が無かったようだ。
「そんなに簡単に排除できるなら、最初からカエデに頼めばよかったわ。植物のヴァリアントは何故かカエデを攻撃しないわよね。私が近づいただけで、すぐに巻き付いて絞め殺そうとしてくるのに」
「本当に私だけ攻撃されないんですかね?」
「見てよほら、あそこに転がってる熊を。見事に蔓で絞殺されてるでしょ」
「本当ですね。あっ、その熊も食料として持ち帰りますか?」
「やめといた方がいいわね。すでに死んでから数日経ってそうだし、もう腐り始めてると思うわ。内臓って、すぐ腐るのよ」
「そうなんですね。分かりました。それじゃあ、中の機械を運ぶ役をやります!」
「そうだわ、カエデが居ればわざわざ部品だけ取らなくても、機械まるごと運んでもらえばいいのよね!」
リナさんは非力なので、部品だけを取って持ち帰るつもりだったみたい。けど、私なら100キロくらいの機械なら普通に持ち帰れる。バランスを取らないとさすがに倒れちゃうけど、持ち上げるだけなら簡単だ。
「言っておくけど、私は普通よ? 力が弱いわけじゃないからね?」
「えっ、私、口に出してましたか?」
「やっぱり! カエデが私を見ながら静かになったから、そんなことを考えてるんだと思ったわよ! そもそも、カエデが怪力すぎるんだからね!」
リナさんが若干怒りながらも、しっかりとビルの中を案内してくれる。ビルの中には、何に使うのか分からないような大きな機械が設置されていた。
「じゃあ、持ち帰りますね」
私は機械の枠を掴むと、持ち上げる。繋がっていたと思われる配線はすでにリナさんが外しておいてくれたようだ。
「今度から、カエデも一緒に来てよ。ちまちま分解する手間が省けるし、他に使えそうな部品も一緒に持ち帰れるわ」
「いいですよ。ハルカさんから一通りの技術はもう全部教わっていますから、あとは実戦で使う練習をするだけですし」
「じゃあ、よろしくね」




