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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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148話目 マリア2

「ミサイルだ、ミサイルを撃ち込め!」

「駄目です、熱源センサーに反応しません!」

「だったら、直接当てろ!」


 施設を潰されたことで、国は本気でマリアを排除しにかかる。マリアが連れてきた2人も、それぞれ重要施設を潰していた。そして、3人で大統領の住む場所へと向かっていたため、軍隊が出張ってきただのだ。

 だが、軍用機から発射するミサイルは変温動物であるマリアたちに反応せず、ただの銃弾ではすぐに再生されて致命傷にならなかった。


「・・・核の使用が許可された」

「本気ですか?! たかが3人に核なんて!」

「それだけ国も本気だということだ。この3人を放置すれば、すべての重要施設が破壊されるどころか、大統領を始めとする重要な要人が殺される」

「住民はどうするんですか! まだ避難すら始まってませんよ!」

「・・・命令だ。国は国民の命よりも自分の命の方が大事なのだよ。さあ、権限を持つ3人で核の使用システムを解除するぞ」


 権限を持つ3人が順にパスワードを入れて核のロックを解除した。赤いボタンが押せるようになるが、手が震えてすぐに押すことは出来なかった。


「・・・ふぅ。俺のこの指に少し力を入れるだけで、数万人の国民の命を奪う事になってしまう」

「・・・・・・本当に、核攻撃しかないんですか?」

「近代兵器がことごとく効かないのだから仕方がない。俺の覚悟も出来た、押すぞ」


 最高責任者である男は、赤いボタンをゆっくりと押し込んだ。発射までのカウントが始まる。撃ち込む場所はすでにセットされているので、カウントが0になれば自動的に目標を排除してくれるはずだ。


「―――発射されました」

「現地付近にあるカメラをハッキングして表示します」


 軍のプログラムであれば、民間のカメラをハッキングする事は容易かった。目的地付近で一番見やすいであろうカメラにマリアが映し出される。


「くっ、いつの間にか一人だけになっているだと! だが、もう発射した以上、結果を見るだけしかできん」


 マリアは以前に見た未来予知によって核を使われることを知っていた。無事に逃げ出せるタイミングを見て、2人は別の場所へと行かせている。


「わたくしに核なんて効きませんのに」


 マリアは上空に迫る核ミサイルを眺める。もうあと十数秒でこの辺り一帯を更地に変える。

 軍に乗っ取られたカメラは、確かにマリアの近くで爆発する核を映し出した後、画面が消えた。


「この辺り一帯が破壊されました。一番近くで映せるカメラを出します」


 随分と遠くではあるが、カメラはクレーターを映し出した。たった一人に使われた核は、辺り一帯の民家を消滅させ、余波の熱で辺りを焼き尽くしている。


「・・・これで本当に良かったのだろうか」

「大統領の命令では、どちらにしろ拒否できませんでしたし」

「だが、俺が数万の何の罪もない人を殺したんだぞ・・・」

「さ、最高司令官! 何か動くものがあります!」

「・・・崩れた建物じゃないのか?」

「ば、化け物・・・」


 遠くを映すカメラは、爆心地で何かが動くものを確かに捉えていた。遠くから映しているにも関わらず、それは巨大な蛇だと分かる。それほどまでに巨大な蛇は、埋まった自身の体を土から抜け出し、何事もなかったかのように進軍を始めた。


「少し汚れてしまいましたわ。さすがに服は耐えられなかったですけれど、仕方ありませんわね」


 マリアは全裸ではあるが、蛇の体となっていることでそうと分かる人も居なかった。また、マリア自身、裸であることを恥だと思っていないため、どちらにしろ問題は無かった。

 核の熱も放射線も、進化したナノマシンにはすでに克服されたものだった。

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