145話目
アヤヒさんが焼き魚を作って持ってきてくれました。焼いてある魚は、スーパーで見たことのない種類でした。
「はわー、久しぶりのお魚だぁ・・・って、初めて見る魚なんだけど、本当に食べられるの?」
「あたしは食べたわよ。ミカコさんが食用と判断したやつしか置いてないから、大丈夫よ」
「・・・私、お腹がそんなに強くないのよね・・・けど、この匂い、我慢できないわ。いただきます!」
リナさんは、我慢できなくなって魚にかぶりつきました。お箸は置いてあるのですが、手づかみですね。私も「いただきます」と、久しぶりに食べ物を口に入れます。うーん、やっぱり食べたことのない味ですね。白身魚っぽいことだけは分かりますが、焼くよりも煮た方がおいしい気がします。けれど、調味料が無いなら塩焼きが一番かもしれませんが。
「おいしい! 魚を食べる機会なんて、数年ぶりくらいよ!」
「リナさんなら、海沿いにも行く機会はあったんじゃないですか?」
「何を言ってるの、カエデちゃん。お魚って、そう簡単に捕まえられるもんじゃないのよ? 私は釣りの経験も無ければ素手で魚を捕まえられるほど反射神経はよくないわよ」
「すいません、私も魚を捕まえたことは無いので知りませんでした」
「別にいいのよ。魚がこうして食べられるんだから」
「あとは、ご飯があればよかったんだけど、あたしら2人じゃ農作物の管理なんて無理だからね。基本的に野生動物を捕まえるか、ミカコさんが魚を捕まえてくるかで食料を賄っているわ」
「人間が少なくなったからか、動物もそこらじゅうで見かけるようになったわよね。と言っても、普通の人間じゃ食べられないでしょうけど。捕まえられないって意味と、捕まえても調理できないって意味で」
「リナは贅沢な方だぞ。自衛隊は、サバイバル経験を積むために虫ですら口に入れると言うのに、虫は嫌だというくらいだ」
「ハルカ姉。普通の人は虫なんて口に入れないのよ?」
「芋虫は食感さえ慣れれば食える方だぞ。蛾や蝶は、羽を取った後はほとんど可食部が残らなくて割に合わないが」
「うげっ、せっかくお魚を食べてるのに変な想像させないでよ!」
こうして、久しぶりのお魚を楽しく食べられました。しばらくすると、アオイさんもこちらへ来ました。
「話は終わったんですか?」
「ああ。大体の話は終わった。そこで、私もあのマシンを完成させるためにここに残ろうと思う」
「私もアヤヒさんを見つけることができましたし、特に目的はありませんから構わないと思います」
「ならば、ハルカに稽古をつけて貰ったらどうだ? カエデの戦闘は力任せで技術が無い。だが、技術があがれば効率よく戦えるようになると思うんだが」
「そうですね。それもいいかもしれません。ハルカさん、お願いできますか?」
「ユカリの護衛の合間なら構わないぞ。と言っても、私も素手での格闘はそれほど強くは無いが」
「ハルカ姉・・・。ハルカ姉で強くないって言ったら、世界でほとんどの人が強くないことになるわよ」
「ふふっ、リナちゃんったら、褒めても何も出ないわよ」
「いや、本当にそう思ってるわよ」
ハルカさんはやっぱり頼れるお姉さんって感じがします。私も、戦えるように頑張らないといけませんね。




