144話目
「ここはもともとビルの地下に作られていたもので、書類なんかを保存しておく場所だったんだと思うのよ。まあ、書類の方は必要ないから全部捨てちゃったけど」
アヤヒさんは移動しながらそう説明してくれました。保管場所は、目的別に保管するためなのか複数あって、ここはその一つみたいです。
「上にあった机や椅子を持ち込んで休憩場所にしてるの。といっても、ミカコさんはほとんど利用しないんだけどね」
「まあ、あの姿じゃ仕方ないですよね。ミカコさんはずっとあの姿のままなんですか?」
「一応、短時間の間だけ普通の人間の姿に成れるわよ。あの機械類も人間の姿のときに作ったものだし」
「水と機械類は相性が悪そうですよね」
「そうなのよね。だから、作るのに結構時間がかかったのよ。あたしは機械の事は全然わかんないから、外から材料を集めるくらいしかできないし」
「・・・あっ、すいません。私ばかり話してて。リナさん達もいろいろと聞きたいことがありますよね?」
「別に、私はいいわよ。それに、まだ完全に信用されてるとも思わないし。下手な事を聞いて、スパイ行為してると思われたくないわ」
「私も別に構わない。私は引き続きユカリの護衛に全身全霊をかけるだけだ」
そうなると、私くらいしかアヤヒさんと話す人が居なくなるんですけどね。ユカリさんもあんまり自分から話さないので。
「ところで、あの機械で何ができるんですか?」
「あたしも詳しくは知らないんだけど、あの研究所と同じことが出来るように作ってるみたい。最終的な目標は不老不死らしいんだけど、本当にできるのかは半信半疑よねー。ちなみに、あたしの目的は元の体に戻してもらう事だから協力はしてるのよ」
「元の体に戻れるんですか?」
「体の中のナノマシンを排除できれば戻れるらしいわよ。ミカコさんも今のままじゃ困るから、一度普通の体に戻りたいみたいだし」
「まあ、地上では不便そうですよね。呼吸も水中じゃないと出来ない感じですか?」
「そうね。研究所からここまで来るのにはすごく役に立ったみたいだけどね。太平洋側をここまでずっと泳いできたみたいだし、食料も自分で採れるし。そこは便利よね。かくゆうあたしも、ミカコさんのお陰でお魚食べられるし」
「お魚・・・それって、私も食べれる?」
お魚にリナさんが反応した。私もユカリさんも食料は食べられないから気にならないけど、リナさんは別みたい。
「今も冷蔵庫に入ってるわよ。・・・食べる?」
「いいの?」
「何の魚かは知らないけどね。あたしはスーパーで並んでる様な種類しか分からないし」
「まあ、私も似たようなもんだわ。食べられるなら、別に種類に拘らないわよ。お魚なんて、ずっと食べられなかったし」
「東京では食べられなかったんですか?」
「そうよ。漁の知識なんて誰も持ってないし、釣りですらほとんどやってる人は居なかったわね。その程度の量じゃ、私に回ってくることは無いし。そもそも、シズカお姉さまは肉が大好きだから、基本的に食料は肉がメインよ」
「そうでしょうね・・・。でも、私もお魚を食べたくなってきた気がします」
私もお肉の方が好きですが、めったに食べられないと思うと食べたくなるのはなんででしょうね? 別にお腹は空かないのですが、口に入れて味を楽しむ事はできます。
「と言っても、調理方法は焼くだけで、味付けは塩くらいしかないけど。それでもいい?」
「ええ、いいわよ。食べられるなら何でもいいわ」
「じゃあ、少し待ってて。作ってくるから」
そう言うと、アヤヒさんは焼き魚を作りに行きました。




