143話目
「とりあえず、今は話をこれくらいにして移動しましょうか。2人が敵じゃないならミカコさんの所へ案内するわよ」
「分かりました。お願いします」
私達はアヤヒさんに着いていくことにしました。巨大な植物のヴァリアントが居たさらに奥にあるビル、その地下にミカコさんが居る様です。
「カエデちゃん達なら多分大丈夫だと思うけど、一応言っとくけど、驚かないであげてね?」
「? どういう意味ですか?」
「結構、見た目変わっちゃっているから」
私達が地下への階段を下りている途中で、アヤヒさんがそう言いました。
見た目が変わっているということは、ミカコさんもナノマシンを取り込んだという事でしょうか?
「ミカコ君は誰ともDNAが近くないと思うんだが、何かあったのか?」
「うーん、その辺はあたしも聞いてないから知らないんだけど。というか、聞く意味もないかと思ってあたしは聞いてない。もし、知りたかったら自分で聞いてみてね」
「そうだな。私としては、原因が知りたいからな」
「じゃあ、この扉の向こうに居るから。開けるわね」
アヤヒさんが扉を開けると、その向こうは近代的な機械達に囲まれていました。その中央に大きな水槽があり、その中にミカコさんが入っていました。ミカコさんは半裸状態で、全身が鱗に覆われ、足はヒレの様になっています。
「人魚・・・?」
リナさんがポツリと言いました。そう、ミカコさんの姿は人魚そのものに見えます。
「久しぶりね」
「ミカコ君・・・その姿はまさか、試験対象から外した魚類のナノマシンを使ったのか?」
「やっぱり、所長には分かりますよね」
「もう所長ではないが・・・ともかく、あれは誰のDNAにも調整していない危険な代物だ。それに、魚類は恐らく人間に合わないということで排除したはずだぞ!」
「生き残るには、そうするしかなかったんですよ。それに、誰にも合わせてなかったお陰で私にも使えましたし」
それからしばらくアオイさんとミカコさんの話が続きましたが、私達が待っていることに気が付くと、2人とも静かになりました。
「ミカコさん、生きていたんですね。うれしいです」
「カエデちゃんこそ、よく生きていたわね。完全に死んでたと思ったんだけど」
「ナノマシンが適応するまでの仮死状態みたいな感じだろうってアオイさんが言っていました」
「そう。とりあえず、よかったわ。ユカリさんも無事だったのね。あの時は、見捨てる事しかできなくて、ごめんなさい」
「・・・仕方ないわ。それに、多分あなたが見たのはきっと私のデコイだと思うわ」
「もう一つ謝るわ。ユカリさんの体の一部を勝手に持って行ったの。ごめんなさい」
「・・・別に構わないわ。それがこの島に生息している植物のヴァリアントなのかしら?」
「ええ。私達を守るように配置しているわ。と言っても、別に命令を聞くわけじゃないから、私達も近づきすぎると攻撃される諸刃の剣みたいなもんだけど」
「ということは、鳥のヴァリアントについてもミカコ君が?」
「ええ。床に落ちたものをできる限り回収しました。人間に使う量にはなりませんが、鳥に使う分には足りましたので。それも、ここの防衛用に使いました」
「ふむ。結構危険な賭けをしているな」
「ここを破壊されるわけにはいきませんから」
「ここの設備はミカコ君が?」
「はい。といっても、所長ほど知識があるわけじゃないので、試行錯誤しつつですが」
「この世界でこれだけの設備が作れるなら十分だろう。エネルギー源は?」
「植物のナノマシンの力を使っています。日が出ている間なら、エネルギーを取り出せます」
「なるほど」
「えっと、2人で話す事がいっぱいありそうだから、あたし達は隣の部屋にいくね?」
「ああ、すまない。もう少しミカコ君と話させてくれ」
アヤヒさんはそう言って私達を隣の部屋へと案内してくれました。




