138話目
「カエデ、大丈夫か?」
「はい、今回は大丈夫です。ワニの時に比べてかなり負担が少ない気がします」
「見せてみろ」
アオイさんは、私の右腕を触りながら確認します。私としては、少しドクドクする感じですが、特に痛いとかはありません。
「ふむ。少し熱い気もするが、ひび割れや骨折等は見られないな」
「よかったです」
私の右腕は、すんなりともとに戻せました。体にも特に負担はありません。
「さて、これで邪魔ものは排除できた。このまま―――」
「植物の化け物が移動したと思ったら倒されるなんて・・・あなたた達は一体何者なの?」
「この声は・・・」
ビルの陰から声だけが聞こえますが、この声に聞き覚えがあります。私達が探し求めていた人物が、やっと見つかりました。
「アヤヒさん!」
「・・・? 誰?」
「私です! カエデです!」
「カエデちゃん・・・? 嘘つかないで。カエデちゃんは死んだはずよ」
「いえ、実は生きていたんですよ。私にもナノマシンが適応して、生き延びることができました!」
「本当なの・・・?」
ビルの陰から現れたのは、確かにアヤヒさんでした。服はボロボロで、顔が酔っ払ったように赤いですが、私の記憶にあるアヤヒさんです。アヤヒさんもナノマシンの影響か、姿は10年前と変わっていません。
「確かに見た目はカエデちゃんね。私の記憶とまったく姿が変わっていないけど。それなら、周りの人達は誰?」
「ナノマシンの影響で、成長しないんですよ。それと、紹介します。こっちは、小さくなっていますがアオイさんで、東京で知り合ったリナさんと、大阪で知り合ったハルカさんです。ユカリさんは分かりますよね?」
「ユカリさんも無事だったのね!」
「ええ。アヤヒちゃんも元気そうでよかったわ」
私達は無人の民家にお邪魔して、話をすることにしました。まずはリナさんとハルカさんを紹介して、私とアオイさんがアヤヒさんを探していた話をします。続いて、アヤヒさんの話を聞きます。
「アヤヒさんは、どうしていたんですか?」
「その前に、この2人はどっち側の人間?」
「? どっち、とは?」
「私達の味方なのか、それとも―――マリア側の人間なのか」
その言葉に、リナさんとハルカさんから少しピリッとしたような緊張したような空気を感じます。アヤヒさんも、2人には近づかないようにしているみたいです。
「それって、どういう・・・」
「ユカリさんかアオイさん。研究所であったことは、記憶にある?」
「ああ。だが、その話はここではできんだろう?」
「そうね。悪いけど、2人には会話の聞こえないところまで離れて貰えない?」
「私はユカリの護衛だ。おいそれと離れるわけにはいかん」
「私からもお願いするわ。少なくとも、ここなら敵襲がすぐにあるとは思えないし、植物のヴァリアントなら私が感知できるから」
「・・・では、リナと私でこの家の周りを護衛する」
「ありがと」
2人が部屋から出て行ってからしばらくして、アヤヒさんは研究所であったことを話し始めました。




