135話目
「じゃあ、先に行くわね」
「はい、お願いします」
リナさんの声から、大体の場所に挨拶する。リナさんの透明化は、カメレオンみたいな擬態のはずなのに、動かなかったら本当に見えないくらいなんだよね。ただ、大阪みたいに温度を感知する機械はごまかせないみたいだけど、こういう普通の視覚で見るには完全に透明だ。あれ? 人間には見えないけど・・・
「いやーー!!」
しばらくすると、遠くからリナさんの叫び声が聞こえた。慌てて走って近寄ると、蔓が空中でうねうね動いている。蔓は何かに巻き付くような形になっていて、そこからリナさんの声が聞こえる。
「カエデ、助けて!」
「わ、分かりました!」
私は蔓を掴むと、力いっぱいひきちぎる。ちぎれた蔓は、くたっとなって先端が地面に落ちる。
「いたたっ、ありがと、助かったわ」
リナさんが透明化を解いてお礼を言った。どうでもいいけど、頭をさすりながらあぐらをかく人型のカメレオンって、ヒーローアニメに出てくる悪役にしか見えない。
「もしかして、蔓に見つかったんですか?」
「もしかしなくてもそうよ。近くを通ったら、普通に襲われたわ。私は見えていないと思って油断してたから、あっさりつかまっちゃった」
「やっぱり、植物が目で敵を判断するわけないですよね」
「やっぱりって、あんた知ってて私を行かせたの!」
「いえ、違いますよ! リナさんが出発してからそんな気がしたんです」
「どっちにしろこの作戦は失敗よ!」
一度街から離れて作戦を練り直す事にした。すると、ユカリさんがちょっとだけ手を挙げて発言した。
「近くに寄ってみて分かったけど、私にはどこに蔓があるのか分かるみたいよ」
「それも蔓を吸収したからですか?」
「たぶんそうね。テレパシーを受け取るのと一緒で、ナノマシン同士が干渉するのかしら」
「ふむ。ナノマシンにそんな事があるなど私も知らなかったが、それがあれば敵の位置が分かる。安全に近づけるのではないか?」
「だが、それだとユカリが敵の所へ行く事が確定してしまう。私は護衛として、そんな危険な事をさせたくないのだが」
「私なら大丈夫よ。蔓の位置が分かるから、不意打ちで捕まることは無いし、見える範囲ならハルカちゃんが守ってくれるんでしょ?」
「ああ、私が命に代えても守る」
「命にまで代えなくていいけど、守ってくれるならきっと大丈夫よ」
ユカリさんの決意は変わらないようなので、ユカリさんを守りつつ敵の位置を確認しながら街を攻略することにした。




