133話目
出てきたのは、緑色の人型をした何かだった。はっぱを集めて人型にした様なもので、造形は人間に近いけれど、顔の凹凸や体の関節なんかは無く、カカシの方がまだ人間に近いと言えるくらいのものだった。
「これが蔓の本体ですかね?」
「恐らくそうだろうな。死にかけたから日光を直接浴びにきたのか?」
「放っておいても枯れそうだが、止めを刺すか?」
ハルカさんが人型の何かに向かって銃を向ける。
「待って。ちょっと試してみていいかしら?」
「ユカリさん? 何を試すんですか?」
「見てて」
そう言うと、ユカリさんは下半身を根の様にして人型の何かを包み込む。そして、そのまま吸収してしまった。
「やっぱり、もともと私のナノマシンが元なのだから、吸収できる様な気がしたのよ」
「えっと、エネルギーを吸い取ったってことですか?」
「エネルギーだけじゃないわよ」
そう言うと、ユカリさんの体から蔓が伸びる。それは、さっき私達が攻撃された蔓と同じものだった。
「吸収したついでに、特性もコピーさせてもらったわ。今までも多少は腕を蔓のように使えたけど、とても戦いに使える様なものじゃなかったわ。けれど、今の蔓なら結構自由に動かせるから、少しは私も戦えそうよ」
ユカリさんは、背中から蔓を生やすと、私を優しく掴み上げた。さっきみたいな攻撃とは違い、ユカリさんが手で持ち上げてくれたような感じだった。同時に数本生やせる様で、アオイさんとリナさんも掴み上げている。
「今はこれくらいが限界だけど、慣れたらもっと増やせそうだし、細かく操れそうだわ」
「多少戦えるようになったとしても、私はユカリの護衛を続ける」
「分かったわ。引き続きお願いするわ」
「そろそろ日が沈みそうだ。安全になったここで夜を過ごそう」
アオイさんの提案に乗ってビルの一つに入って休むことにした。ビルの中なら鳥のヴァリアントにも見つからないはずだ。それに、蔓を使えるようになったけれど、相変わらずユカリさんは夜は光合成が出来なくて動きが緩慢になるのは変わらないので。
「ハルカさんも一緒に休んでください。私とアオイさんが見張っていますから」
「すまない。頼んだ」
鳥も夜はやはり見づらいのか、その夜に他のヴァリアント等から攻撃を受けることはありませんでした。




