130話目
とりあえず、明るいうちに行けるところまで行くことになり、徳島へ渡る橋である大鳴門橋へ向かいます。しかし、街の中心部へ向かうにつれて違和感を感じ始めました。
「ねぇ、この辺の建物にやけに蔓が巻き付いてない?」
リナさんもそう感じたようで、近くのビルを見ています。確かに、ビルにはびっしりと蔓がはびこっていて年月が経った洋館みたいなイメージです。
そのビルへユカリさんが近づいていき、護衛するためにハルカさんも一緒に行きました。
「この辺の植物から、何か感じるわ」
「私は感じないが、植物の力を持ったユカリ君だから何か感じる者ものがあるのだろう」
「危ない!」
さらに近づこうとした時、蔓の一部が急に動いてユカリさんを攻撃しようとしました。それをハルカさんが気付いて防ぎます。いったん、ビルから離れると蔓の攻撃は止みました。どうやら、一定距離に近づかなければ大丈夫なようです。
「蔓が動いた?!」
「まさかとは思うが、植物のヴァリアントがいるのか? だが、植物の力を持つのはユカリ君しか居ないはずだ。どうやってここに? いや、もしかしたら・・・」
「そういえば、ユカリさん以外にもユカリさんが居ましたよね」
「私以外の私・・・? もしかして、囮用に作ったやつかしら」
「研究所の近くで見たんですけど、心当たりがありますか?」
「逃げるために、私の姿になるように作った植物を囮にした事があるわ。ある程度再生能力はあるけれど、その場から動けない、頭に花が咲いているやつよ」
「あっ、確かにそれです」
「アヤヒ君のヴァリアントがその囮のユカリ君の体を食いちぎって食料にしていた。もしかしたら、その一部が鳥か何かに運ばれてここで他の植物に影響を与えたのか・・・?」
もしアオイさんの予想が正しければ、そのうち日本中が植物のヴァリアントがはびこって大変なことになりそうです。
「植物がユカリ君の体を食べられるとは思えないが、何かしらの偶然があったのだろう。今は、実際に発生してしまった植物のヴァリアントに気を付ける必要がある」
私達が進む方向には、結構な量の蔓が至る所に這っています。さっきの攻撃から見ると、単なるたたきつけみたいな感じでよけるのは簡単ですが、数が多くなれば分かりません。
「ふむ。どうやら、この蔓は全部つながっているようだ」
「とてつもなく大きな植物ってことですか?」
「大きいというよりも、長いというべきかもしれんが、どちらにしろやっかいな植物だ。倒すとしたら、本体を探し出す必要がある」
「こんなにいっぱいの蔓の中から探す必要があるんですね・・・」
街一つを飲み込む蔓の山の中から、本体なんて見つけられるんでしょうか?




