129話目
「とりあえず、橋を先に渡ってしまうか」
ハルカさんの提案に、私達は頷く。橋にはいろいろな鳥が多く飛んでおり、どれがヴァリアントでどれが普通の鳥なのか分からない。このまま隠れる場所もない橋の上に居るのは得策じゃないだろう。
「他にもヴァリアントが居そうですね」
「だが、襲ってくる様子は無いな。人を襲ってまで食おうとするのはさっきのコンドルくらいだったのなら楽なのだが」
「アオイさんの目で分かりますか?」
「見知った鳥なら差は分かるが、詳しくない鳥については判断がつかないな。とりあえず、怪しいものを見つけたらハルカ君に伝えよう」
「分かった。ユカリさん、もう少し種を貰ってもよろしいですか?」
「ええ、構わないわ。どのタイプのものが必要?」
「とりあえず拘束のもので大丈夫そうです」
「分かったわ」
ユカリさんが種を作る間だけとどまって、準備ができたので急いで橋を渡る。何度かヴァリアントの急襲があったけれど、すべてハルカさんが撃ち落としてくれた。単純なバトルなら私も手助けできそうなんだけど、これだけ早く動くものには私は手が出せない。遠距離攻撃を持っているのもハルカさんだけだし。
ユカリさんを守りつつ、できる限り早く橋を渡り終えた。そして、近くの建物の陰に隠れる。付近の建物は鳥の巣になっているのか、まだまだ鳥が多く飛んでいる。
「ここでいったん落ち着こう。壁を背にするだけでも鳥の突撃は減るだろう」
「暗くなってからもう一度移動ですか?」
「そうだな。鳥目があるのかどうかは知らないが、夜になれば普通の鳥は寝るだろうから数は減るだろう。ただ、こちらの視認性も悪くなるが、条件は敵も同じだ。条件が同じなら、数は少ない方がいい」
「分かりました」
本当なら、有名な大渦を見てみたかったんだけど、そんな余裕はなかった。上ばかり見てたから、本当にまったく見れなかったのは残念だ。
「夜になったらどこまで行く?」
リナさんが地図を広げて確認する。
「夜間の間に淡路島を通り抜け、もう一つの橋も渡り終えるのがベストなのだが」
「けっこう距離がありそうですね。地図では60キロくらいでしょうか?」
「ふむ。私達が本気で走れば夜の間に抜けれそうだが・・・」
「ユカリさんの事を考えると無理はできませんよ」
ユカリさんは日が落ちると一気に弱る。弱くなるというよりも、動きが遅くなるという方が正しいかもしれない。寝落ち寸前って感じの、あぶなっかしい動きになるので無理はさせられない。一応、私が背負って運ぶこともできるけど、その場合は上を見られないし、上からの攻撃をユカリさんが受ける事になる。うーん、だっこならいけるかな?




