118話目
民家の屋根に現れたのは、小さな女の子だった。おそらく10歳くらいの。その女の子が、2階の屋根から飛び降りる。
普通なら飛び降りにも見えるそれも、女の子は無事に地面へと着地した。さすがに今の状況で、あの子が普通の女の子だと思う人は居ない。
「お前は誰だ?」
アオイさんが女の子に尋ねる。女の子の目的が分からない以上、聞いても答えてくれない気がするけど。
「あたしは富田美憂(CVイメージ チュアチュリー・パンランチ)だ。この辺はあたしのシマだ。通るには通行料を貰わないとな」
「問答無用で襲っておいてそう言うのか?」
「別に、最初から殺す気は無かったさ。驚いて荷物を放り出して逃げるかと思えば、まさか迎え撃つとはな」
「見ていたなら分かるだろう? 私達から食料を奪うことは不可能だぞ」
「はっ、あたしをただの子供だと思っているな?」
「いや、普通の子供じゃないのは分かっているが、その上で言わせてもらう。私達から食料を奪うのは無理だぞ」
「これを見てもそう言えるか?」
ミユちゃんはそう言うと、顔がオオカミの様に変形した。さっき襲ってきた大人たちはただの動物っぽい動きをするだけだったけれど、ミユちゃんは自身を変身させることができるみたいだ。つまり、ランク4。さらに言えば、アヤヒさんの親族かもしれないってこと。そう言えば、アヤヒさんに少し似ている気がする。
「すいません、アヤヒさんを知っていますか?」
「・・・あたしに答える義務があると思っているのか?」
「私達、アヤヒさんを探しているんです。教えてくれるなら食料は渡します」
「本当か? 嘘だったら、お前を食うぞ」
「私を食べてもおいしくないと思いますけど、どうぞ」
「・・・そう言って油断させてあたしを捕まえるつもりか?」
「どうしたら信じて貰えますか?」
「そうだな、お前が食料を持って一人でこっちへ来い」
「分かりました。いいですか、みなさん」
私は振り向いてみんなに尋ねる。特に、食料が必要なハルカさんとリナさんには確認が必要だ。
「私は別に構わない。もし必要ならもう一度取りに行けばいいだけだ」
「私は少しもったいない気もするけど、カエデちゃんの必要な情報が手に入るならいいわよ」
「ありがとうございます」
2人の許可も貰ったので、私は食料の入ったリュックを両手に持ってミユちゃんの方へと歩いていきます。




