112話目
「ところで、報酬の件なのだが・・・」
私達とユカリさんの話が一段落したところで、オミさんがソワソワとした様子で会話に入ってきた。
「あら、ごめんなさい。待たせてしまったわね。さっきも言った通り、好きなものを作ってあげるわよ」
「それは助かる。それなら―――」
オミさんが手帳を見ながらいくつかの植物名を挙げた。
「じゃあ、出すわ」
対してユカリさんが手を前に出すと、指先からいくつかの種が落ちる。オミさんはそれを受け取ると、ハルカさんへと渡した。ハルカさんはその種をどこかへと運んでいく。
「これで食料事情がかなり改善される。それどころか、幅広い料理が作れるようになるだろう」
「それじゃあ、必要な種をすべて作るわよ。その代わり、私はカエデちゃんと一緒にこの街を出ていくわ」
「それは許可できない。引き続き、この街でアヤヒの情報を集める。それではだめなのか?」
「少なくとも私は自分でアヤヒさんを探したいです。ただ待っているだけなんて耐えられません」
「だったら、ユカリを引き続きこの街へ置いておく事はできないか? 自然災害等でユカリの力が必要になる時があるだろう」
「私もユカリさんと一緒に居たいので、この街に留まるようなお願いはしません」
「では、この街から出すわけにはいかないな」
オミさんの目が爬虫類へと変わる。対して、ユカリさんの腕が蔓のように変化する。
「もし敵対するなら、例えこの街から出られなくても、私があなた達に協力することは無くなるわよ」
「・・・・・・・・・」
オミさんはしばらく考えた後、目が元へと戻る。例え力づくで監禁に成功しても、協力が得られないことが明白だと諦めたのだろう。
「分かった。代わりにハルカをお前たちの護衛として付ける」
「ハルカちゃんを? 貴重なランク4をこの街から出すの?」
「仕方ないだろう? 他にお前たちに釣りあう人員は居ない」
どうやらハルカさんはランク4らしい。まあ、人間の見た目で護衛隊長をやってるくらいだから、予想はしてたけど。リナさんの親戚みたいだし。
「ハルカが戻り次第、事情を説明するからそれまでは待っていてほしい」
「分かったわ。それじゃあ、残りの種も作ってあげるわね」
一応交渉は成立し、ユカリさんはオミさんの言う植物の種を作り出していった。




