111話目
しばらくすると、廊下から走る足音が響いてきた。そして、扉がバンッと開かれる。そこに現れたのは、ユカリさんだった。その後ろには、ユカリさんが突入しようとするのを制止しようとしているハルカさんが見えるが、止められないようだ。
「カエデちゃん!?」
「ユカリさん!!」
服は変わっているし、肌が少し緑色の上、慌てて来たからか以前よりも表情があるように見えるけど、確かにユカリさんだ。
「ユカリさん、会いたかったです!」
私はユカリさんに抱き着く。しばらくそのままでいると、オミさんが口を開いた。
「その子がカエデで間違いないな? ユカリ、約束の物を貰おうか」
「ええ。分かっているわ。好きなものを言って。何でも作るから」
「本当か?! それなら―――」
「ちょーーーっと待った! オミ、あんた何を勝手に全部自分の手柄にしてるのよ!」
「お前こそ何を言っている? これは以前からの契約だ」
「別にそれほど私の負担にならないから、誰への報酬だろうと構わないわ。それより、本当にカエデちゃんなのね」
「はい。ユカリさん、探しました。アヤヒさんも探しているんですが、まだ見つかっていません」
「私もオミさんに頼んで探してもらったけど、ほとんど情報が集まらなかったの。一応、北の方へは行っていないだろうっていう事だけど、どこへ行ったのか手掛かりが全くないわ」
「オミ。とりあえず、いったん休憩にしたらどうだ? カエデとユカリ君に少し時間をあげたいんだが」
「いいだろう。こちらも、報酬について考えたい」
「ねね、オミ。報酬ってどんなの? 私にも何か欲しいだけど」
「お前にとってはあまりいい物だとは思えないが、まあいいだろう」
アオイさんの提案で、オミさんは私とユカリさんに時間をくれるみたい。ついでに場所も譲ってくれるみたいで、オミさんはハルカさんとリナさんを連れて部屋を出ていった。
「えっと、もう一人の子はアオイさんでいいのかしら? 面影はあるけど、私が知っている姿と違ったから断言できないけど」
「ああ、私が悠木碧で間違いないぞ。研究所でナノマシンを取り入れた時に若返った」
「そうなのね。それにしても、カエデちゃんが生きていてうれしいわ。カエデちゃんの生死を確かめる間もなく研究所を追い出されてしまったから」
「その所の話を私も聞きたい。あの日以降、一体何があったのかを」
「いいわよ。私が知っている限りの話をしてあげる」
私達は、ユカリさんからあの日何があったのかを聞くことが出来ました。




