110話
「来たか。そこへ座れ」
私達はオミさんに言われるまま3人でソファーに座りました。ハルカさんは扉の前で直立しているので、座らないみたい。オミさんは椅子に座ると、足を組んだ。
「久しぶりだな、リナ。早速だが本題に入ろう」
「相変わらずせっかちね」
「合理的と言ってくれ。時間が惜しい、先にこちらの情報を渡そう。まずは私の話を一通り聞いてくれ。お前たちが通ってきた畑があるだろう? あそこで育てている植物は、ユカリによってもたらされたものだ。ユカリから植物を貰う条件は、ユカリへ情報を渡すことだ。ここでは通貨を採用しているが、ここ以外じゃ使えないからな。情報が一番価値があるものになる。それに、ユカリは食事も要らないらしいし、痛みも感じないらしい。拷問は意味ないと言われたよ」
「ここに、ユカリさんが居るんですか!?」
私は、目の前のテーブルに手をつくと、顔をオミさんへ近づける。ハルカさんが動こうとしたけれど、オミさんが手で制した。
「・・・そういえば、2人はリナが連れてきた部下だと言っていたな? 部下にしては随分と馴れ馴れしい態度だな?」
「あっ、ごめん。2人が部下っていうのは嘘で、ユカリを探しているのはこの2人なの」
「お前というやつは・・・。はぁ・・・お前を信用してここに入れたのは間違いだったか」
「まぁまぁ。でも、オミが私を素直に入れたってことは、欲しいものがあるって事でしょ?」
「ああ、そうだ。最近はユカリに渡すような情報が皆無だが、欲しい植物はいくらでもある。何でもいいから情報が欲しい。お前はそういう情報を集めるのが得意だろう? だから、期待していたんだが・・・」
「んで、欲しい情報って何?」
「・・・この2人は信用できるのか?」
「うん、信用できるよ。最初は敵対したんだけど、普通に強かった。多分、オミより強いよ」
「ほぉ・・・それはそれで面白い情報だな」
オミさんの目が爬虫類の目に変化した。
「ちょっ、リナさん! 煽らないでください!」
「でも実際に戦ったら、2人なら勝てそう。オミの種類はコモドドラゴンよ」
「!? 貴様、人の力を勝手に話すな!」
オミさんの顔が、本格的に爬虫類へと変化していった。ところで、コモドドラゴンって強いんでしょうか?
「それより、情報が欲しいんでしょ? 具体的にどんな情報が欲しいの?」
「くっ、お前というやつは昔から・・・まあいい。私が欲しいのはユカリが居たという研究所に関する情報だ。特に、アヤヒ、カエデ、ミカコ、アオイという女性たちの情報が欲しい」
オミさんから、私とアオイさんの名前が出たことに驚く。
「私です、私がカエデです!」
「お前が? ユカリの話では、すでに死んでいるかもしれないという話だったが。それに、当時の年齢が14歳で、今なら24歳くらいだろう。お前はどう見ても大人に見えん」
「それは、私の体が成長しなくなったみたいなので」
「それなら、私がアオイだ。私はリナと同様、若返った口だ。おそらく、君も同じだろう?」
「ああ、私もそうだ。ったく、この見た目だと舐められやすくなって困る」
オミさんはそう言うと、足を組みなおした。そして、私とアオイさんをじっと見つめてくる。
「ハルカ、聞いていたな? 2人の映像をユカリに見せてこい」
「ハッ! かしこまりました」
ハルカさんはそう言うと、部屋を出ていった。
「確認が取れるまで、しばらく待て。もし2人が言っていることが本当なら、ユカリにとって一番欲しい情報だろうからな。これは、報酬も期待できるな」
オミさんが、うれしそ―――いや、悪そうな顔でそうつぶやいた。




