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ゾンビにされた  作者: 斉藤一


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103話目

 神奈川を離れ、大阪へと向かう事になりました。距離が結構離れていて時間があるので、ついでにリナさんに詳しく話を聴くことにしました。


「リナさん、さっきの『第四使徒』って、どんな人なんですか?  シズカさんが『あいつ』なんて呼ぶくらいだから、一癖ありそうですけど……」


 リナさんは少し遠くを見つめるような目をして、ため息混じりに答えてくれました。


「大阪を仕切っているのは、私の従姉妹にあたる南央美みなみおみよ。あの子は……一言で言えば『完璧主義の合理主義者』。シズカお姉さまが『武力と生存』の象徴なら、オミは『管理と効率』の象徴ね」


 リナさんの話によると、大阪は神奈川や愛知のような弱肉強食の地獄絵図にはならなかったそうです。その代わり、徹底した「格付け(ランク)」による管理社会が築かれているのだとか。


「オミは、ナノマシンによって得た力を『個人の能力を数値化するツール』として使ったの。食料配分から住居まで、すべてがその数値で決まるの。余計な争いは起きないけれど、息が詰まるような場所よ」

「それは、今使っているランクとは違うんですか?」

「大阪と比べれば、こっちのランク付けは大雑把な区分に過ぎないわ。あっちは同じランクでも差がつけられるの。まあ、ほとんどないけどランク2で優秀な人がランク3よりも上のランクになることもあるから、そういう意味では夢があると言えないこともないけど」

「なるほどな。けれど、それは以前の日本にもあった格差だろう。金を持つものと持たぬもの、身体能力、頭脳。どれも人によって差があるのだから、平等というのは土台無理な話なのだ」

「アオイさんは、そのオミさんの考えに賛成の方ですか?」

「どちらかと言えばそうだな。誰しも、無意識に自分を基準にしてものを考えるだろう? 自分ができるのだからきっと相手もできる、自分が出来ないからきっと相手も出来ない。そういう差を自然と考えてしまうのだから、はっきりとそれを目に見える形に落とし込んだという意味では、オミの考えは私の考えに近いと思うぞ」

「そう、ですか」


 私は、お金が無くてしたいことは何もできなかった。学校での勉強は出来たけれど、それで幸せになることは無かった。日本では、その学力がお金に代わるのに時間がかかりすぎるから。そういう意味では、正当に力を評価するオミさんの考えに魅力を感じる。けれど、全員が全員それに同意するとは思えない。

 だって、その考えに魅力を感じるのは、あくまで他人よりも自分の方が優れていると思っている人だけなのだから。

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