101話目
「それにしても、その変身は何の生き物だ?」
アオイさんがシズカさんに尋ねる。シズカさんの変身は、目と尻尾くらいで、爬虫類ということは分かるけど、ただの爬虫類ならこれほど強くなるとは思えない。単純に、プロレスラーだから強い可能性もあるけど、それなら変身自体必要ないはず。
「あたしも知らん。マリアが言うには、非常にレアらしいけどな」
「完全に変身した姿を見せてもらってもいいか? 研究者として、すごく気になるのだが」
「へぇ。ちっこいのに研究者なのか」
「小さくなったのは、副作用だ。そこのリナと同様だな」
「そうなのか。まあ、変身を見せてもいいが、めちゃくちゃ腹減るんだよなぁ」
「お姉さま、食料なら多少は持ち合わせがありますから差し上げます。私もお姉さまの変身を見てみたいです。今まで見たことありませんし」
「食料くれるならいいけど、そんなに見たいもんか?」
シズカさんは、首をかしげながらも変身する準備を始めた。どうやら体が大きくなるようで、服を脱ぎ始め、そしてスポーツ用のブラと下着のみになった。
「じゃあ、やるぞ」
シズカさんがそういうと、体が大きくなる。全身が巨大化し、手には爪が生え、顔が大きくなる。そして、全身に少しだけ羽毛が生え、腕が短い翼のようになった。
「これは・・・なんでしょう?」
「だから言っただろ? あたしも自分が何の生き物かわかんねぇんだよ」
「ほぉ・・・これは、ティラノサウルスじゃないか。まさか、そんなものに適応する人間が居るとは・・・」
「ティラノサウルス・・・って恐竜ですか?! え。羽毛が生えてますけど」
「ああ。どうやらそのようだな」(まさか、博物館で手に入れた恐竜のDNAが適応する人間が居るとは・・・。マリアはこれが分かっていてシズカに力を与えたのか?)
アオイさんが小さな声でぶつぶつと言っているけど良く聞こえない。それよりも、これが恐竜なんだ。すごくモフモフしてて抱き着いてみたい。
「あの・・・ちょっと触らせてもらっていいですか?」
「あっ、お姉さま、私も触りたいです!」
「構わないけど、腹が減るからもう少ししたら変身を解くからな」
「「分かりました!」」
私とリナさんはシズカさんに近づき、足や手、尻尾を触る。犬みたいなモフモフじゃなくて、鳥の羽みたいに思ったよりもフワフワじゃなかった。それに、思ったよりも温かくない。そういえば、恐竜って変温動物なんだっけ? それとも、鳥みたいに恒温動物?
私とリナさんは、10分ほどかけてモフモフし、満足した。シズカさんは「もういいか?」と聞いた後、変身を解いてリナさんから食料をもらい食べるのだった。




