4-3 自己紹介
サロンはちょっとした会議室くらいの広さがあって、円卓と椅子が並んでいた。この調度品もいちいち高級品だ。このサロンを使う貴族の格を考えたら、安物は置けないよね。
ニコール様の音頭で自己紹介をした。次に自己紹介してくれたのは、ニコール様の幼なじみ3人組で、中央貴族のご令嬢だ。
「父は皇族直轄領の代官を務めております、マルーン伯爵令嬢のアガサですわ」
「帝立図書館司書長のオーキッド子爵令嬢、デボラです」
「メイズ侯爵が長女、ヒラリーよ」
茶髪のアガサ様、薄紫色の髪のデボラ様、金髪のヒラリー様。よし覚えたぞ。
「ジョンブリア辺境伯家長女、キンバリーです」
「殿下の従姉妹のミカエラ!」
黄色の髪のキンバリー様はジョンブリア家か。北部貴族がニコール様と仲良くしてるのは、正直驚き。どういう経緯で仲良くなったんだろ。
ミカエラ様は、殿下の従姉妹ってことは、西部のスカーレット侯爵令嬢ね。よし覚えた。
次はジョナサン殿下のご学友。
イザイア様はいいとして、侍従のバーソロミュー様はスレート伯爵令息。でも前に鑑定したから知ってるけど、この人第5騎士団長子息で、職業に諜報員って出てくる。第5がそんな仕事してるなんて知らなかった……。開拓とか街道整備とかやる何でも屋集団だと思ってた。これはきっとお口にチャックのやつだ。
「俺はグレゴリー・コルク。親父は第1の副団長やってる。よろしく」
薄茶色の髪のコルク男爵令息ね。
「確かコルク男爵は元平民で、武功を立てて男爵に叙爵されたのですよね」
「よく知ってんなぁ」
「成り上がりは騎士の憧れですもの」
サクセスストーリーっていいよね。領地にいた時にコルク男爵の話は聞いたことがあって、みんな羨ましがってたの覚えてる。
「オレはミカエル。ミカエラと双子」
なるほど、確かにミカエラ様にそっくり。子どもの頃とか入れ替わったら分からなかっただろうな。
主な取り巻きがこのメンバーだ。多いとも思うけど、皇族の取り巻きとしては少ないと思うし、やっぱり仲良しグループな気がする。
ふと、ジョナサン殿下が口を開いた。
「よし、挨拶は終わったな。では、シヴィル嬢とイザイアに命令だ。人前で喧嘩をするな」
「……気をつけます」
「はーい」
改めて釘を刺された。私とイザイア様の関係は、既にこのメンバーに共有されているらしく、みんな苦笑いだ。
「確かに元恋人と一緒って、気まずいよなぁ」
「シヴィルさんはもう吹っ切れたのー?」
「またこの双子は……」
「えー?だって気にならない?」
「気になるよねー」
双子が割とズカズカくる。でも変に探りを入れられるよりは良い。
「気になりますよね。家族の支えもありまして、もう吹っ切れていますよ。出来ればイザイア様……失礼。グレイ伯爵とは、子どもの頃のように友達に戻れたら、と思っております」
そう言ってイザイア様にニッコリ笑ってみた。イザイア様は目を逸らした。ほーら、都合悪くなるとすぐ目を逸らすー。
「シヴィルさん大人だな!」
「大人だね!」
「イザイアも見習え」
私がいい事を言ったので、イザイア様が標的になり始めた。入学式の分はこれでチャラにしてやろう。ふーんだ、ざまーみろ。
それから私達は色々な話をしながらお茶をして、楽しく過ごせたのだった。
学園生活は、中々楽しくなりそうだ。




