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その聖女、ゴリラにつき  作者: 時任雪緒
第4章 学園生時代

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4-4 今後の方針

翌日から学園生活がスタートした。私は仕事の都合上早く登校しなければならない。学舎の玄関でニコール様をお迎えして、帰りはお見送りするまでが仕事だ。

なのに、ルサルカお姉様達みんな、私と一緒に登校すると言い出した。ゆっくり登校すればいいのに、朝の時間で図書館で勉強するからいいって。みんな真面目だなぁ。


そういう訳で、ルサルカお姉様達が図書館に行くのを見送った後は、玄関前で待つ。同じクラスの同級生が登校してきて挨拶してくれるので、挨拶を返す。下位貴族クラスや新入生などの、私を知らない学園生に不思議そうに見られるのが苦痛だけど、それも周りが慣れたら気にされなくなるはずだ。

そうこうしているとジョナサン殿下とニコール様がやってきて、お2人について、バーソロミュー様と後ろに控えて教室へ入る。


最初の授業は経済学、次は政治学、お昼を挟んで中級魔術、外国語。授業内容がとても貴族ぽい。

私も飛び級したという体裁を保つ為に勉強する。流石に授業中に危険もなかろうと考えて、一生懸命先生の話を聞いてペンを走らせる。特に魔術や錬金術は齧りもしていないので、ここでさぼるわけにはいかない。


ちなみにボールペンだよ。ジョナサン殿下の商会、レイアース商会の大ヒット商品だそうで、ソフィアお姉様が1本分けてくれた。すんごい書き心地がいいのこれ。これは売れるはずだわ。


休み時間になると、ジョナサン殿下が第1皇子殿下の所に行った。それとなく盗み聞きしてみると、授業で分からなかったところを質問している。

気になったので、放課後人が少なくなってから、ニコール様に尋ねた。ちなみにジョナサン殿下はまた第1皇子殿下の所に行っている。


「ニコール様、ジョナサン殿下は第1皇子殿下と、その、兄弟仲は良好なのですか?」

「うふふ、実はそうなのよ。大半の貴族は未だに誤解しているけれど、ジョナサン様とクインシー殿下は、昔からとても仲良しなのよ」


対立してもおかしくないのに、当事者達は仲良し兄弟なのか。今こうしているのを見ると、少なくとも2人は学園で兄弟仲の良さを隠す気はないようだ。


「それではジョナサン殿下は」

「臣籍降下するわ。クインシー殿下をお支えしたいのですって。だから私も皇子妃教育は受けていないの」

「その事を知っている貴族もいるのですか?」

「知っていたり察している貴族はとっくに、クインシー殿下の後援になっているわよ。例えば彼らの親がそうね」


と、ニコール様は第1皇子クインシー殿下の取り巻きを扇子で指す。騎士団長や魔術師団長、大臣や宰相もクインシー殿下を認めてるってことか。なるほど。


「名だたる名家が目端がきくのなら、この国は安泰ですね」

「うふふ、この国の貴族も捨てたものではないでしょう?」

「はい」


この調子なら帝位争いで内乱勃発とかはなさそうだ。この国の未来は明るいね!

ただ、とニコール様が続けた。


「こちらもクインシー殿下も、北部は中々取り込めなくて」

「対立派閥だからですね」


ドルストフ帝国との戦争を巡って出来た派閥だ。元々色んな派閥があるけど、今は更に複雑になったみたい。

北部の双璧の一角、ジョンブリア辺境伯家のキンバリー様が、ニコール様に着いていることに、正直驚いたもんね。なんで北部貴族のグループにいないんだろ。ちょっと調べてみるかな。


そこに来て更に私だ。サンタンドレ王国の悲願は王国の再興だ。だからその内戦争は起きるだろう。サンタンドレ王国と北部は目的が似通っているので、手を組んでもおかしくないし、事実サンタンドレ王国亡命政府を強力にバックアップしているのは北部と西部だ。


なのにサンタンドレ王国の血筋の私が皇族に着いてしまった。これはこれで気づかれたら一悶着あるはずだ。


和睦派は平和的に解決したいだろうから、私か母がサンタンドレ王国の手綱を握る事が出来ればベストと考えるだろうけど、私にも母にもそんな力量はない。

これは皇帝陛下が引き金とはいえ、かなり面倒な事に巻き込まれた。でも実際に頑張らなきゃいけないのは皇帝陛下達なのでお任せする。いち騎士にできることなんかないわ!


「クインシー殿下が中央を掌握しつつあるから、こちらは地方を牽制したいのだけど」


なるほど、だから兄弟仲の良さを隠さないのか。仲が悪いと思われたままだったら、ジョナサン殿下が地方を掌握して暗躍してると思われかねない。

でも仲良しだったら、帝国をまとめる為だとわかるはずだ。なるほどなるほど。


「ですが、難しいですね……」

「そこであなたとソフィアよ。お母様はコバルト侯爵家のご出身でしょう?」

「そうなのですが、実は私はコバルト侯爵家の方には、お会いしたことがないのです」

「まぁ、そうなの……」


ニコール様をガッカリさせてしまった。

そうなんだよね。この辺は私ホントに役立たずだ。剣ばっか振ってた弊害がこれだ。やっぱり貴族って、社交してなんぼのものなのね。


「ですが、デビュタントも済ませたことですし、これから社交も頑張ります」

「うふふ、頼りにしてるわね?」

「はい」


貴族って大変だ。ニコール様ほどのお立場になると、こんな事にも心を砕かなきゃいけないのか。

でも私もニコール様の騎士になったんだ。この天使なニコール様をお守りするのが私の役目だ。頑張らなきゃいけないよね。


人がまばらになった教室。既に対象者がいない机を見る。

コバルト侯爵の孫のディラン様。ターゲットは君だ!

しかしどうしたらいいのか。ニコール様達にどうにも出来なかった人を、どうやって口説けば?大体、あちらはあちらで北部貴族連合みたいなグループが出来ているし。そもそも話すきっかけがない。ペンでも転がしてみる?




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