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検査結果は能力なし 〜能力なしで死んだ俺は、なぜか今日も死なせてもらえない〜  作者: 鬼喜怪快
オマケ2

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45話 頑固親父と雷雷親父




 「雷鳥鳴蔵さんが、親方に会いたいって……」


 「なんだと馬鹿野郎!」


 「言ってましたけど……」

 

  鳴蔵との面会の翌日。

  防星省から許可が下りたこともあり、

  狩に昨日のことを伝えた。

 

 普段から怒っている狩だが、

 一層怖い顔で風を睨んだ。


「どうしてお前が、

 鳴ちゃ……鳴蔵を知っている?」


「極秘で俺に会いたいって……

 連絡があって……」


「なんだと!

 また引き抜くつもりだな!

 あの馬鹿野郎が!」


「いえ、そのつもりだったらしいですけど、

 親方のもとにいるなら安心だって……」


「あん?」


「俺を見ていて、若いころの雷鳥さんと重なったみたいで……

 なんか、すごく激励されました」


「……」


「それで、最後に親方に会いたいって……」


 風は響から預かったカードを狩に手渡した。


 狩は訝しげな顔でそれを見た。


「なんだよこれぁ?」


「国立病院の入館証です。

 これがあれば、雷鳥さんの入院部屋に案内されるようです」


「……」


「できるだけ早く、

 会いに行ってあげてください」


「なんだよ……身体悪いのかよ?」


「……余命3ヶ月だそうです」


「!」


「できるだけ早く……

 って、息子の響さんからもお願いされました」


「馬鹿野郎が!」


 狩は入館証をデスクに叩きつけて去っていった。


 2人の間に何があったか知らないが、

 狩の様子を見る限り、ただごとではなさそうだ。


 ――――――


 昨日。

 

 病室にて鳴蔵と別れると、

 病院のエントランスまで響は風を見送った。


「今日は、父のためにありがとう。

 ずっと、君に会いたがっていてね」


「こちらこそありがとうございました」


「これで思い残すことはないと思っていたけど、

 虎落笛の父親と知り合いだったとは……」


「雷鳥さんも初耳だったんですか?」


「驚いたよ……

 虎落防星官の実家がブレイカーなのは知っていたが……」


 響の困惑した顔がすべてを物語っていた。


 タクシーが来るまでの間、

 響は父・鳴蔵の話を始めた。


「あの身体に刺さっている無数の管を見ただろう?」


「……はい」

 

「あれは生命維持装置でもあるが、

 あれが一つでも手順を誤って抜けたら、

 父の身体は溶けてなくなる……」


「え?」


「それが、日本最強の男……

 異能の能力者に対する仕打ちだよ」


「どういうことですか?」


「父は特別だ。

 父が亡くなり、その遺体を侵略者や他国に奪われては一大事だ。


 研究対象にされて、

 同じ能力を持った人間を量産されかねない」


「能力持ちを自由に作れるんですか!?」


「今の科学では無理だが、

 未来ならありえる。


 すでに日本は、

 父からDNAなど必要なデータはすべて採取して保管している」


「それって……なんか嫌だな」


「異端の能力……

 異能の種というものの宿命。


 死んでも最強兵器扱いなんだ」


「でも……ひどいですよ。

 溶けるって……」


「だからこそ、

 最初は君を防星官に招くつもりだったのに、

 考えを改めたのだと思う」


「?」


「まずは日本のために考えて動く人だ。

 それは今でも……


 しかし、何かを機に考えが変わったようだ……」


「何か、あったんですかね?」


「君が、

 タイガードロップ株式会社に入社したと聞いてからだった」


「!」


「きっと、

 虎落防星官の父親と何か関係があったのだろうな」


 そんな話をして、

 2人は別れたのだった。


 そして今日――


 その話をしてから狩の機嫌は悪かった。


 ワープゾーンの処理に向かっても、

 ずっと考え事をしているようだった。


「パパァ、今日は何に怒ってるのよ?」


「怒ってねーよ!

 馬鹿野郎!」


「怒ってんじゃん!

 無茶苦茶怒ってんじゃん!


 仕事もしないでさ!」


「してるだろ!

 この野郎!」


「今日は運転だけじゃん!」


 いつもながら、

 移動用のバンの真ん中の席は2人に挟まれて居づらかった。


 ――――――


 事務所に着くと、

 狩は珍しく先に帰った。


 翌日の準備を風と帝呼に任せて帰るなんてことは、

 今までになかった。


「親方……やっぱり様子が変だったね」


「空気を読んで帰ったんだと思うわ」


「なんの空気?」


「もう……

 それをわたしに言わせるの?


 ずるいひと……」


 変な方向に話を持っていかれそうなので、

 風は思いっきり話を変えた。


「親方って、雷鳥さんと知り合いなのかな?」


「えっ?

 あの金髪オールバックと?」


「すごいあだ名で呼んでるね……


 その金髪オールバックのお父さんと知り合いなのか、

 知らないかな?」


「聞いたことないなぁ。


 華火って隊長と知り合いなのは、

 笛ちゃんも知ってたみたいだけど」


「そうか……」


「あっ!」


「?」


「あの露出系女副隊長は知り合いだよ」


「露出系女副隊長って……

 剛海さん?」


「そうそう!

 ちょっと無駄に色気出しすぎのおばさんね!」


「帝呼ちゃん……

 怒られるよ……」


「あの露出系は昔うちで働いてたのを覚えてるわ。


 何回か会ったことあるし」


「すごいな。

 うちから防星官の幹部が2人もいるの!?」


「露出系もパパには頭が上がらないって、

 聞いたことがあるもん」


 狩と鳴蔵の間には何かある。


 すごく気になるが、

 深追いしていいものかどうか……。


 そんな考え込む風を、

 帝呼は見逃さない。


「風くん!」


「何を悩んでいるの?

 わたしのこと?」


「違うよ」


「いやぁーん、即答!」


 アイドルをしている帝呼。


 いつもはみんなに注目を浴びる仕事をしている。


 そんな彼女にとって、

 風の素っ気なさが逆に新鮮らしい。


「実は親方に会いたがっている人がいるんだけど、

 親方にその気がなくて……」


「何よそれ?」


「俺がその話をしてから、

 ずっと機嫌悪かったんだよ」


「うーん。

 パパって頑固親父だからねぇ……

 それが拗ねたとなると、

 これほど見苦しくて迷惑なものはないものね」


「少し言い過ぎだよ……」


「OK!

 わかったわダーリン!

 この帝呼があの頑固親父を、

 その人と会わせて見せるわ!」


「ほんと!」


「もちろん!


 風くんのためですもの!」


「ありがとう!」


 こうして、

 狩が鳴蔵のもとへ行くように、

 帝呼が裏から手を回してくれることになった。


 ようやく安堵する風。


「ところで誰に会わせるんだっけ?」


「さっき話した雷鳥さんのお父さんだよ」


「白髪オールバックに会わせるのね!」


「いや……

 白髪じゃなかったよ。


 オールバックでもないし」


「えっ!


 それじゃあ、

 帝呼はなんて呼べばいいの?」


「……雷鳥さんのお父さん、でいいじゃん」


「……おもんな」


「えっ?」


「……雷親父にする」


 帝呼にはいつも振り回される風――


 何やら先が思いやられた。




 

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